内閣府の「アイヌに対する理解度」世論調査で調査回答者(1602人)のうち、21%はアイヌの人々やアイヌ文化に接していた。一方、現在も友人や知人など身近な人が差別を受けていると答えた人が2.3%あった。この回答者を含め「差別や偏見があると思う」と答えた人は21.3%あった。
調査は全国18歳以上の日本国籍を有する3000人を対象に郵送形式で昨年11月17日~12月25日の期間で実施。有効回収率は53.4%だった。
差別や偏見が生じている原因・背景に関して、差別があると思うと答えた人の内、78.9%は「アイヌの歴史に関する理解の不十分さ」にあるとし、75.4%が「アイヌ文化に対する理解の不十分さ」と答えた。(複数回答)
また「行政や学校教育でのアイヌの人々の理解を深める取組みの不十分さ」を指摘する回答が61.3%あった。
これを反映して、差別や偏見をなくすために必要なことでは「アイヌの歴史や文化の知識を深めるための学校教育」が79.2%と最も高かった。また「アイヌの人々への理解を深める啓発・広報活動」が67.2%あった。
国民の理解促進に効果的な取組みでは「テレビ・新聞を利用した情報提供」が74.3%で最も多かった。
世論調査ではアイヌについて「アイヌの人々は日本列島北部周辺、北海道に先住し、かつては狩猟・漁労・採集や交易を行い、独自の言語や文化を形成していたが、北海道開拓時代に日本語教育や猟の制限などにより、アイヌの文化は深刻な打撃を受けた。現代では衣食住などの日常生活において、他の日本人と変わらない様式で生活。最近では民族共生象徴空間、愛称ウポポイなどを通じたアイヌ文化の振興と普及啓発が行われている」と紹介している。(編集担当:森高龍二)