立憲民主党は枝野幸男氏から泉健太氏になって以来、党が何を目指しているのか、どの方向に動いているのかさえイメージがつかめなくなっている。最大の理由は自民党の補完勢力として台頭めざましい日本維新の会へのすり寄りによる党の立ち位置。維新は国民民主、自民より右に立つ政党。
枝野氏立ち上げから旧立憲を支持、期待してきた中道・革新系の無党派層は泉氏の党運営に疑問を抱いている。立憲に期待を寄せることができず行き場を失い、投票行動に移れない怒りを秘めているだろう。
トップダウンでなく、草の根の声を政治に反映させ「お互い様」の思いやりある社会実現には枝野氏が立党したころの政治視点、熱い情熱が必要だし、それが感じられた。連合に頼りすぎる基盤の脆弱さも「連合党」のように立憲らしからぬ党にしてしまっている。
さきの衆参補欠選挙で党公認3候補が全敗となった。統一地方選挙の道府県議会、市町村議会では候補さえ擁立できない空白地帯が多くあった。泉氏が代表について、これまでにいかほどの地方基盤強化ができたのか。全く持って脆弱極まりない。近畿で見れば、維新は府県議会、市議会で議席を大幅に増やすのみならず、トップや上位当選を相次いで果たした。立憲は大阪府下市議選レベルでも候補者さえ擁立できていなかった。
その結果が明確になっている。さきの参院選、今回の衆参補欠選、統一地方選を見れば、このまま衆院選挙を迎えれば「野党第1党」明け渡しの結果になるだろう。
泉氏は「解散総選挙もいつ行われるか分からない状況で党の立て直しは一刻の猶予も生じさせることはできない」(28日記者会見)と党の立て直しの必要性について自覚しているが、最もネックになっているのが「自身である」ことを自覚すべき。党の立ち位置を有権者から分からなくしたのは泉代表自身。
4月23日に衆参補選、統一地方選後半戦の結果が出た。蓮舫参院議員は「議員総会、ならびに本会議後の国対理事合同会議でも複数の議員から執行部への疑問、意見が相次ぎました。まず両院議員懇談会を開き所属議員の声を代表が聞くべきです。ゴールデンウィーク後に検証するなんて甘いまとめでは政党として成り立ちません」と執行部の対応を問題視し、提起した。「悠長な党執行部の姿勢に納得できない」と。この危機感こそ、立憲すべての議員が持つべき、蓮舫氏の指摘は「正論」だ。
立憲は5月10日にやっと「両院議員懇談会」を開くそうだ。党代表の交代の道筋と党の立て直しへの一歩、総選挙への臨戦態勢を全国の地方組織に実効性を持って指示できるカリスマ性あるリーダーをG7広島サミット(5月19日~21日)終了から1週間以内に選出できる体制に取組むべき。
共産党ではない、中道革新支持層を党の支持基盤に据えることが自民、国民、維新に重複しない「立憲」のカラーづくりになり、保守・革新2大政党制へのひとつの柱の政党に育つ道筋と感じている。泉代表ではできない歩みだろうことはこの約1年半の間で明らかになっていよう。(編集担当:森高龍二)