子ども支援 所得制限撤廃に不満 経団連会長

2023年06月06日 19:33

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特に全世代型社会保障に関しては「税を含めた財源のベストミックスに向けた議論を避けて通れない」と強調した

 日本経済団体連合会の十倉雅和会長は5日の記者会見で、異次元の子ども・子育て対策で、こども未来戦略方針(案)を受けての財源について「施策のメリハリ付けの観点からすると極めて厳しい財源の中で、所得制限を撤廃し、高額所得者の世帯にまで児童手当を支給することについては納得感が少ない」と所得制限撤廃には不満を示した。

十倉氏同様に所得制限撤廃には財源がない中でどうなのか、と疑問や不満を投げる声は意外に多い。防災同様「自助・共助・公助」で子育てするスタンスが合理的と思われる。自立できる高額所得者には自立を、低所得で子育てが大変な世帯に現実的に必要な手厚い対応策をとる方が「安心して出産・子育てし易い社会」になると思われ、国民にも納得感が出よう。

 十倉氏は会見で、少子化対策に取組む中長期的課題として(1)若い世代が結婚でき子どもを持てるだけの所得水準を可能にする賃上げ(2)将来への漠然とした不安を解消できる全世代型社会保障制度の構築(3)性別を問わず仕事と育児の両立を可能とする働き方改革が重要とした。

 特に全世代型社会保障に関しては「税を含めた財源のベストミックスに向けた議論を避けて通れない」と強調した。消費税引き上げを視野に入れての発言とみられるが、安倍政権下で引き下げられた法人税を一定程度、引き下げ前の税率に戻すことや金融所得課税の見直しまでを含めた議論を求めるというのであれば国民の理解も得られよう。

この日の会見で十倉氏は経団連として男性の育児休業取得を会員企業に促すとし、取得率だけでなく取得日数も重視した形での取得促進を呼びかけていくとした。(編集担当:森高龍二)