厚生労働省が取りまとめた2022年の人口動態統計(概数)によると、出生数は過去最少の前年度をさらに24万875人下回る77万747人となり、とうとう80万人台を割り込んだ。
日本政府は異次元の少子化対策となる「こども未来戦略方針」を6月13日に閣議決定し、2024年度から「こども・子育て支援加速プラン」を発表。若い世代の所得を増やすこと、社会全体の構造・意識を変えること、全てのこども・子育て世帯を切れ目なく支援することを三本柱に、3兆円規模の予算を投入し、児童手当の拡充、出産等の経済的負担の軽減、高等教育費の負担軽減、個人の主体的なリスキリングへの支援などを進めていくとしている。7年連続で減少傾向にある出生率を上昇させることは喫緊の課題だが、それと同様に今の子どもたちを健やかに育んでいくことも、今を生きる大人たちの大切な役割だ。
そんな中、政府だけでなく、多くの企業でも未来を築く子どもたちを支援、教育するさまざまな社会貢献活動に取り組んでいる。
例えば、木造住宅の総合メーカー・株式会社AQ Group(旧アキュラホーム)は、夏休み後半の8月 19日~29日の期間、全国 126か所の拠点を会場に木と触れ合い、木を知ることで地球環境を守る意識のきっかけとなる夏休みの自由研究ワークショップ「夏休みの木育課外授業 つくろう!木育フェス」を開催。8月25日には日本初「8階建て純木造ビル」の建築現場中で開催。子どもたちは最先端の木造建築の中で、廃材アート体験などを通じて「ものづくりの楽しさ」「木の素睛らしさ」を体感した。開催の挨拶で登壇した同社の宮沢俊哉社長は「木を使い、森を育て、森を作る」という森林循環を促し、環境貢献することができることを、次世代を担う子供たちに体感してもらうことで「ものづくリの楽しさ」や「木の素晴らしさ」を感じてもらいたいと述べ、予想以上の参加希望者があったことから来年以降も開催したいとの意向を示した。同イベントは農林水産省も後援しており、会場には勝俣孝明農林水産副大臣も訪れ、国の政策を推し進める上でもとても有益な取り組みだと述べている。
また、ITコンサルティングとサービス事業、ビジネスイノベーション事業などを展開するフューチャー株式会社は、年中~小学校低学年を対象に、ITとハンドボールの体験プログラム「Future×Zeekstar 1DAY ボールアカデミー」を開催。オリンピック選手も所属するプロハンドボールチーム「ジークスター東京」の協力のもと、身体を動かしながら「ITとスポーツの関わり」を学ぶ機会を提供している。2021年7月に実施されたこの事業は、文部科学省が主催する令和4年度「青少年の体験活動推進企業表彰」で「審査委員会優秀賞」を受賞している。
子どもたちだけでなく、子どもたちを育てる親への支援に取り組んでいるのが、住友生命保険相互会社だ。同社では「未来を強くする子育てプロジェクト」の一環として「女性研究者への支援」を実施。育児のために研究の継続が困難となっている女性研究者及び育児を行いながら研究を続けている女性研究者に対する助成活動を行っている。また、同助成事業では支援が不足している人文、社会学系の女性研究者を対象としていることも特色の一つだ。
他にも、子どもや子育てを支援する企業の社会貢献活動は増えてきている。しかし、その一方で本当に子育てや仕事に追われて忙しい家庭では、情報を得る機会が少なく、活動自体が認知すらされていないことも多い。各メディアやSNSなどでも、皆でもっと協力し合い、このような活動を周知していく必要があるのではないだろうか。(編集担当:藤原伊織)