岸田文雄総理は25日、都内で開かれたG7広島サミットに向けた世界人口開発議員会議(GCPPD)2023で基調講演し「国際社会は気候変動、感染症を始めとする国際保健、食料・エネルギー等の複合的な地球規模課題に直面しており、SDGsは2030年までの達成が危ぶまれている。今こそ、世界の変革の実現に向けて取組みを加速化させなければなりません」と訴えた。
また人口問題では「人間一人一人、特に最も脆弱な立場の人々へのまなざしが重要です。単なる人口の増減だけでなく、個々の人間の生活の質に着目する必要がある」と訴え「様々な人口問題へのアプローチの中で最も重要なものの一つがグローバル・ヘルスの取組みであり、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成だ」と呼び掛けた。
岸田総理は「昨年11月、世界人口が80億人に達した。人口問題は人間、社会、経済の発展のあらゆる側面に影響を与え、社会の在り方に直結する問題であり、持続可能な開発を達成する上での基盤ともなる。人口問題はSDGsの全ての目標と関連し、SDGs達成に向けては人口の観点を取り入れることが不可欠」と提案。
そして「サブサハラ・アフリカの国々は高い出生率への対応が迫られている。一方で、特にアジアやラテンアメリカは人口ボーナスをどう活かすか、雇用を含む若者のエンパワーメントが課題。さらに、少子化と高齢化が進展する国が先進国のみならず、途上国においても増加しつつある。国際的な人口移動、人口の偏在等にも対応が必要」と課題や状況は様々にあるとした。
そのうえで「女性が妊娠や出産に関して十分な情報を得て自ら決定できるという、性と生殖に関する健康と権利や女性のエンパワーメントに関する取組みを進めていくことが重要な課題。母子保健サービス、栄養、慢性疾患対策などへのアクセスを確保することも重要で、一国でなく、世界全体での取組みが重要」と呼び掛けた。(編集担当:森高龍二)