岸田文雄総理は25日、全国証券大会で個人の現金預金1117兆円を株式等へ促進する政策に強い意欲を見せた。一方で「元本割れ」リスクには触れず。
岸田総理は「国内外の優れた金融機関や人材が日本に集まり、互いに切磋琢磨することで運用能力を高め、より良い商品やサービスを提供する金融資本市場を実現したい」と強調し「新規参入支援の拡充等を通じた競争の促進など、資産運用業の改革に向けた具体的な政策プランを年末までに策定する」とした。
この日のあいさつで、岸田総理は訪米の際に、ニューヨークでは海外投資家に対し日本への投資誘導へ「日本は昨年の資産所得倍増プランの策定、NISA(少額投資非課税制度)の抜本的拡充・恒久化に続き、資産運用業とアセットオーナーシップの改革や資産運用セクターへの新規参入の促進、日米を基軸とした資産運用フォーラムの立ち上げ等の政策を表明してきた」と紹介。
証券大会に出席の証券マンらに「本年を資産所得倍増元年と位置づけ、貯蓄から投資へのシフトを大胆かつ抜本的に進めていく。貯蓄から投資へのシフトを実現するためには皆様の力は欠かすことができない。NISAの抜本的拡充などの政策対応も進めていくが、家計を始めとする顧客から信頼される真のパートナーとなることが大切。顧客ニーズに応じた良質な商品を提供し顧客第一に考えた業務の徹底をしていただきたい」と呼び掛けた。
岸田総理は自民党総裁選では「所得倍増」を訴えていたが、総裁・総理になってからは日本経済団体連合会の意向に沿う個人の現金・預金1117兆円を株式市場などへ誘導する「資産所得倍増」にすり替え、誘導策を最優先に経済政策を進めている。国民には「元本割れ」リスクを一切語っていない。資産運用で所得倍増を、とばかり。消費者保護法の精神からすれば国民には金融市場へのマイナス要因も示して促すべきだが、回避している。(編集担当:森高龍二)