世界糖尿病デー(インスリンを発見したフレデリック・バンティング氏誕生日の11月14日)にちなみ全国各地で糖尿病を理解してもらうシンポジウムやウオークラリーなどのイベントが展開されている。
このうち近畿大学病院(大阪府大阪狭山市)では18日、医師や看護師、栄養管理士、理学療法士、薬剤師が講師を務め、一般市民に無料ミニセミナーを開講。規則的でバランスの良い食生活とともに定期健診や特定健診で早期発見、早期治療をと周囲の人にも声かけし受診をすすめてと呼びかけた。同病院での「世界糖尿病デー」イベントは7回目。
能宗(のうそう)伸輔医師は特定健診が2008年4月から始まり、糖尿病の可能性が強く疑われる人の数は2007年の約1320万人から2016年には約1000万人にまで減少した。しかし糖尿病と考えられる人の4人に1人が治療を受けていないと危惧した。
能宗氏は「糖尿病は血糖値が正常値より高い状態が慢性的に続く病気。悪化すると失明や心筋梗塞、狭心症、腎不全、神経障害のリスクが高まる。早期発見、早期治療が重症化を防ぐことになる」と話した。
また「自覚症状のないまま進行することが多いため、定期的に健診を受けることが大事」と受診を促した。
口が渇く、水分摂取量が増える、多尿になる(加齢による頻尿は、トイレ回数は増えるが1回あたりの排尿量は少ない。糖尿病ではトイレ回数が増えるとともに1回あたりの排尿量は150ミリリットル以上。そのため脱水気味で口が渇き、水分摂取量が増える)、体重が1カ月に5~10キログラム減る、疲れやすい(倦怠感)などは糖尿病のサインとされるので迷わず受診した方が良い。
このほか会場では血糖値や体脂肪量測定コーナーや朝、昼、夜の食事内容を伝えるとカロリーや栄養バランスを即座に数値で示す食生活診断コーナーもあり、自分の嗜好で偏った食事をしていることに気付かされ「食事を改めます」と話す人もいた。
ちなみに1日の適切な総エネルギー摂取量について渡辺紗弥佳管理栄養士は身長(㍍)の2乗×22(65歳以上では22~25)×30(重労働の場合には35)の算出式を紹介し、例えば身長155センチ、63歳女性が家事中心の普通の労働量である場合1・55の2乗×22×30=1585㌔カロリー、約1600㌔カロリーになると説明した。(編集担当:森高龍二)