全世代型社会保障で28年度迄の改革工程指示

2023年12月07日 06:34

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岸田総理は「年内にこの改革の道筋を反映して新経済・財政再生計画の改革工程表を改定し、当面の取組みの進捗をしっかり管理していく」とした

 岸田文雄総理は5日開いた経済財政諮問会議で新藤義孝全世代型社会保障改革担当大臣に対し「全世代型社会保障改革の道筋を取りまとめ、こども未来戦略方針における加速化プランの実施に当たっての財源確保の前提となる2028年度までの複数年にわたる歳出改革も含めた改革工程を示すよう」指示した。

 岸田総理は「年内にこの改革の道筋を反映して新経済・財政再生計画の改革工程表を改定し、当面の取組みの進捗をしっかり管理していく」とした。

 また武見敬三厚生労働大臣に対し「今後取りまとめられる改革の道筋や改革工程表に基づき、DXの推進をはじめとする医療・介護の更なる改革を進めるよう」指示した。

 岸田総理は「成長と分配の好循環が実現する新たなステージにおける全世代型社会保障の構築に向けては経済、財政、社会保障を包括的に捉え、人口減少下での持続的成長に向けて、整合的に政策を講じていくことが重要。成長力強化と社会保障の持続可能性向上への取組みを一体として強化していく」と述べた。

 全世代型社会保障構築会議が提出した資料では「2022年に生まれたこどもの数は77万747人と統計開始以来、最低の数字となり、 ピークの3分の1以下にまで減少。22年の合計特殊出生率は1.26と過去最低となり、少子化のスピードが加速している中で、少子化による中長期的な社会保障を含む経済社会の支え手の深刻な不足が懸念される」とした。

 また「人口減少により今後さらに労働力が減少し、人材不足が恒常化していく中で、介護、保育をはじめ各分野において、より深刻となる人材不足への対応を急がなくてはならない」と喫緊の課題であることをあげた。

 同会議は「能力に応じた全世代での支え合いをより強化すること」や「社会保障給付の重点化、効率化により一層取組んでいく必要がある」としている。「その際、世代間のみならず世代内の公平性を確保していくことが重要」ともした。
 
 同会議は「市場による働きによって生じた所得分配の歪みに対し、社会保障はより必要な人たちにより多くの所得を再分配する機能を発揮することによって、格差是正や貧困解消を図り、消費や人への投資を活発にすることができる」とし「社会保障における給付と負担は表裏一体のものであることについての認識も浸透させる必要がある」と報告している。(編集担当:森高龍二)