【コラム】特捜部の徹底捜査と企業団体献金「全禁」が必要

2023年12月10日 11:23

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自民党最大派閥安倍派をはじめ麻生派、二階派など自民党主要5派閥が政治資金パーティー券のノルマを超えた部分を議員にキックバック(還流)し、政治資金収支報告書に不記載だった裏金つくり疑惑があるが、常態化していたことも推察され、「政治とカネ」問題の深刻さが改めて浮き彫りになっている

 自民党最大派閥安倍派をはじめ麻生派、二階派など自民党主要5派閥が政治資金パーティー券のノルマを超えた部分を議員にキックバック(還流)し、政治資金収支報告書に不記載だった裏金つくり疑惑があるが、常態化していたことも推察され、「政治とカネ」問題の深刻さが改めて浮き彫りになっている。東京地検特捜部の本腰の捜査に期待する。

 疑惑の徹底追及で「膿」を出し切り、一掃する機会にしてほしい。また国会においては今回の問題を機に、政党交付金創設本来の目的実現のため「企業・団体献金」を全面禁止し、抜け道をつくらないこと、政治資金規正法違反を行った者には公民権(選挙権・被選挙権)停止を「3年以上7年以下」とするなど罰則の強化を図って頂きたいと期待する。

 政治資金パーティーという資金集めのパーティー券販売と購入して協力する側。購入者の大半が企業や団体といわれている。実態としてパーティー券が政治と特定企業や特定団体との癒着の構造を生み出す土壌になっているといえよう。

 日本共産党はパーティー券購入を「寄付」扱いに位置づけることで、年間5万円を超える寄付者名を政治資金収支報告書に記載することを義務付けている政治資金規正法の対象にし、政治とカネの透明性を高めることも提案しているが、政治土壌の浄化にはそうすべきだろう。

 同党の国会議員団は5日に「企業・団体献金全面禁止法案」を参院に提出した。書記局長の小池晃氏は「政治をゆがめる企業・団体献金を全面禁止、企業・団体によるパーティー券購入も禁止。政治団体代表者の監督責任の強化、収支報告書の公表までの期間短縮、情報開示の徹底を盛り込んでいる」とXで発信している。

 法案では個人による政党・政治資金団体への寄附総額上限を年1000万円、他の政治団体(資金管理団体含む)への寄附総額上限は500万円に、現行の半額に引き下げることや、政治団体代表者の監督責任強化とともに「政治資金規正法違反者の公民権停止期間を裁判確定日から5年間と延長」と罰則を強化するものになっている。この法案に自民党が賛成することはないのだろうが、実現へ少しでも近づけることが必要だ。

 立憲民主党は昨年6月「企業・団体献金全面禁止法案」を提出していて、こちらは継続審議になっているが、共産党案とも調整し、国民のために、より実効性の高いものに整えて、今回のような問題が二度と繰り返されることがないよう法定してほしい。
 
 同時に政治献金やパーティー券購入側も認識を改めていただきたい。「日本は民主主義国家。民主政治を適切に維持していくために相応のコストがかかる。クリーンな政治寄附は『企業の社会貢献の一環』として重要」などと民主主義維持のためと主張する日本経済団体・十倉雅和会長には企業の社会貢献に使う政治献金を他の分野に振り向けていただきたい。

 特定政党に年間24億円もの献金をし、政策評価など自分たちの要望をどれだけ実現したかで評価することが民主主義維持のような考えは改め、地球環境のため、あるいは国境なき医師団やNPO、NGO、学校教育活動への寄付行為に努められることを是非お願いしたい。

 企業の内部留保が500兆円を超えるなか、法人税引下げ要求や政府与党による法人税引上げへの検討事態をもけん制するのはいかがなものか。応分の負担をしていくことこそ、企業としての「社会貢献の見える化」につながり、大手企業の存在価値が高まることになるだろう。企業・団体の「我田引水」につながる政治献金は、やはり全面禁止にすることが望ましい。(編集担当:森高龍二)