政府が1兆円近い莫大な補助金を交付する半導体の民間企業「ラピダス」(トヨタ自動車、デンソー、NTT、NEC、ソフトバンクなど8社が出資する会社、本社・東京、資本金73億円)の参与に元経済産業省次官の嶋田隆氏が就任していた。22日、武藤容治経済産業大臣が「事実を確認した」と記者会見で明かした。
政府と巨大企業との癒着につながらないか、官民パイプ役を担わせる狙いはないか、巨額の補助対象企業だけに、経産省からの天下りとの批判はもとより、政官癒着を懸念する声が多くあがっている。
武藤大臣は記者団の問いに「ラピダス社に確認したところ、嶋田元事務次官が特別参与に就任したことは事実と聞いた」と認めた。そのうえで「ラピダス社において経営戦略上必要となる人材として、個人としての経験や資質を踏まえて選任されたと聞いている。一応そのぐらいしか私どもも承知していないが、嶋田さんに直接会ったこともないので、一応そのようなことで事実確認はさせていただいたところ」と踏み込んだ聴き取りもしなかったもよう。
ネットでは「政府が出資することに絡めて経産省からの出向扱いにするとか、その程度を取り繕うこともしなくなったのか」とあまりにも堂々たる天下りのような特別参与就任に呆れる声や「新たな天下り先に。しかも報酬不明朗な特別参与」「商売のド素人じゃないか。これで専属黒塗り車と秘書が付いて週2日くらい顔を出して、報酬は年数千万。2年くらいで後任にポストを譲ると…。完全に天下りポスト確保だね」などなど、批判的な声が相次いでいる。参与としての経営手腕が問われることになりそうだ。(編集担当:森高龍二)