先端技術を活用した国内初の街路照明スマート化事業を展開

2011年09月27日 11:00

 現在、国内に普及している街路灯、防犯灯、公園灯等の多くは、タイマーや照度センサーにより点灯・消灯する機能に限定され、周辺環境、天候や季節に応じた細かな調光は行っておらず、常に一定の照度で点灯し続けている。また、点灯・消灯はタイマーや照度センサーにより行われているが、これらの寿命末期には日中にも係わらず街路照明が点灯している場合もあり、特に昨今は節電対策の一環として、街路照明の間引き点灯運用の取り組みが見受けられるが、安全面、保安面の観点から問題視する声も聞かれている。

 一方で、街路照明は主として地方公共団体にて運用保守管理を行っているが、ランプ交換のほとんどは地域住民からの通報により交換作業を実施する場合が多く、ランプ交換作業が実施されるまでの間の安全面、保安面の観点から運用の改善が課題となっている。また、街路照明のランプ寿命を事前に把握できないため、適切なタイミングでの予防交換を行うことができず、非効率なランプ交換作業による費用増加も課題となっているという。

 これら課題の解決のために、伊藤忠商事は、エネルギーマネージメント事業の取り組みの一環として、海外にて多数の導入実績を有する米国エシェロン社及び仏国ストリートライト・ビジョン社のPLC(電力線通信)技術・製品を基盤とした街路照明のスマート化ソリューションを国内で初めて展開する。

 街路照明のスマート化ソリューションは、街路照明一灯毎に電力線通信(以下「PLC」)が可能なPLC対応通信機器を取付け、既にインフラとして確立されている電力線を通じてデータの送受信を行なうことにより、新たに通信網を敷設することなく遠隔から環境に応じた木目細かな調光・制御を可能とし、消費電力の削減に貢献。更に付加機能として、消費電力の計測や累積点灯時間等を正確に把握するだけでなく、故障の自動検出機能も備えており、電力消費量や二酸化炭素排出量の排出抑制及び街路照明の運用保守管理の効率化(街路照明のスマート化)を実現することができる。

 国内初の導入事例として、環境省による委託事業「平成23年度チャレンジ25地域づくり事業」において、街路照明製造業界大手の岩崎電気並びにパナソニック電工の協力の下、街路照明のスマート化実証事業を展開。同実証は、実証地域として茨城県つくば市、実証期間は平成23年度から平成25年度の3年間を予定している。

 つくば市とは、同社グループが中心となり、2010年5月より電気自動車で使用されたリチウムイオン電池を太陽光など再生可能エネルギーで発電した電力の蓄電用途に二次利用する事業モデルの構築を目指した「Green Crossover Project」(クリーンエネルギーを活用した低炭素交通社会システムの実証プロジェクト)を共同で進めており、街路照明分野においても、全国に先駆け先進的な取組みを推進していく。

 今後、伊藤忠商事は街路照明のスマート化事業を展開するにあたり、消費電力の削減だけでなく、震災後街路照明の間引き点灯により課題となっている安全性、保安性を適切に維持し、維持管理費用の削減をすべく、同実証を皮切りに実証事業で収集された様々なデータを活用。パートナー企業と共に全国で約1千万灯設置されていると言われる地方自治体が管理する街路照明のスマート化の早期普及を目指す。