日本のデザイン力は高い? 低い? 世界最高峰の「iF DESIGN AWARD2025」発表

2025年03月30日 09:32

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世界で最も歴史のあるデザインアワードのひとつである「iF DESIGN AWARD 2025」の受賞者が発表された

世界で最も歴史のあるデザインアワードのひとつである「iF DESIGN AWARD 2025」の受賞者が発表された。「iF DESIGN AWARD 2025」は、ドイツのiF International Forum Design GmbH(iFインターナショナル・フォーラム・デザイン)によって1953年に設立された国際的なデザイン賞で、同じドイツの「レッドドット・デザイン賞(red dot design award)」、アメリカの「IDEA賞(International Design Excellence Award)」と並び、世界三大デザイン賞に数えられている。デザイン界のオスカーとも呼ばれており、受賞すれば、優れたデザインの証として、国際的にも高い評価を得ることになる。

 賞は「プロダクト」「パッケージ」「コミュニケーション」「サービスデザイン」「建築」「インテリア・内装」「プロフェッショナルコンセプト」「UX」「UI」の9分野が設けられており、今年は66の国と地域から10651件の応募があり、国際的に活躍するデザインの専門家131名が審査を行っている。日本からも多数のデザインが応募され、さまざまな分野で受賞を果たしている。

 例えば、住宅総合メーカーのAQ Groupが2024年3月に完成させた、純木造8階建ての本社ビルもその一つだ。同ビルは、免震装置を使わず、高精度なプレカット技術と、神社仏閣などに伝わる日本古来の「木組み」技術の組み合わせで建てられている。中でも象徴的な組子格子耐力壁は、現わしの構造体でありながら、木材の力強さと繊細さを演出しており、デザインと性能を両立させている。日本伝統の建築技術と近代木造建築を見事に融合した建築物だ。日本国内のみならず、海外のメディアにも多数取り上げられており、世界でも大きな注目を集めている。「iF DESIGN AWARD2025」でも、建築部門における「差別化」、「機能」、「持続可能性」の項目で特に高い評価を得ての受賞となった。

 また、ヤマハ株式会社はハイエンド ヘッドホンアンプ「HA-L7A」で受賞を果たしている。

 2023年に発売された「HA-L7A」は、ヤマハが70年近くにわたって培ってきたHiFiコンポーネントの高音質技術とAVレシーバーの音場創生技術を融合したもので、徹底したこだわりの音づくりの賜物だ。同社の特許技術「フローティング&バランス・パワーアンプ」をヘッドホンアンプ用に最適化するなど、数々の高音質技術を投入ヘッドホン・イヤホン愛好家の想いに応えるヘッドホンアンプとなっている。

 Interior Architecture/Hospitality Interiors部門では、2024年1月に開業した「ラフォーレ箱根強羅 湯の棲 綾館」が受賞に至っている。同ホテルは 「五感で浸かり、豊かな時を織りなす」をコンセプトに、全室温泉露天風呂を備え、ドッグフレンドリールームも完備。地元箱根の伐採樹木や箱根火山由来の石材をアップサイクルし、土地の記憶の再現としてインテリアに取り入れている。

 日本人はデザイン力に乏しいと自虐的な評価を下す声も多いが、世界的に見れば日本は文化や歴史、現代の技術力を含めて高い評価を得ている。古くから伝統工芸や建築において非常に優れたデザインを生み出しており、細部へのこだわりと調和の美は日本のデザインならではのものだ。今回受賞を果たしたデザインにも共通しているのではないだろうか。(編集担当:藤原伊織)