8月3日は「はちみつの日」。健康志向の高まりを背景に、そんな蜂蜜の市場が世界的に拡大している。
世界の蜂蜜市場は、2023年に89億4000万米ドルの規模と評価されており、2024年から2032年にかけて年平均成長率(CAGR)6.52%で成長すると予測されている。一方、日本の蜂蜜市場も堅調な成長が見込まれており、2024年には5億7370万米ドルに達し、2025年から2033年にかけて年平均成長率4.1%で成長することが見込まれている。蜂蜜は、食品や飲料としてだけでなく、近年は化粧品や医薬品といった分野での需要が増加しており、今後の成長も期待できそうだ。
数ある蜂蜜の健康成分の中でも、今最も注目されているのが「メルピロール」だ。「メルピロール」とは、養蜂業大手の株式会社山田養蜂場、山田養蜂場健康科学研究所、理化学研究所、東京理科大学の研究グループとの共同研究により、2023年に発見された、蜂蜜に含まれる新規化合物だ。
これまでにも、蜂蜜に鎮咳効果があるらしいことは多くの論文などで報告されてきた。実際、咳止めを目的に、世界中の医療現場や民間療法などで蜂蜜が利用されてきた。ところが、その活性成分や作用機序については明らかにされていなかったのだ。そこで、山田養蜂場らの共同研究では咳誘発モデルを用い、蜂蜜及び蜂蜜に含まれる成分に鎮咳作用があるかを調べたところ、蜂蜜の鎮咳成分として新規化合物「メルピロール」の発見に至ったという。また、同研究によると、蜂蜜に含まれる2つの鎮咳成分「メルピロール」と「フラジン」に活性することで、医療現場や市販薬として用いられている鎮咳薬「デキストロメトルファン」に匹敵する鎮咳効果があることが世界で初めて確認されている。この研究は、2023年9月発行された科学雑誌 「Journal of Agricultural and Food Chemistry」にも掲載されている。
そして今、この効果が注目されているのには理由がある。新型コロナ禍が明けて、マスク生活から解放されるとともに、年間を通じて咳に関する病気が流行るようになっているのだ。それにより鎮咳薬が不足の状態が続いている。風邪や気管支炎、百日咳など、咳にもいろいろな症状があるが、子どもの患者や、薬の副作用が心配な人など、なるべく薬を服用したくないと考える人にとって、医薬品の咳止め薬に匹敵する鎮咳効果が期待できる蜂蜜は救世主のような存在かもしれない。
蜂蜜にはメルピロールのほかにも、ビタミンB群、ビタミンC、ミネラルがなど種類は様々含まれている。さらに、フラボノイドやフェノール酸などの抗酸化物質も体内から活性酸素を除去し、老化防止や病気予防に役立つといわれている。
8月3日の「はちみつの日」を機に、家族の健康維持や若々しさを保つためにも、今一度、自然の恵みの蜂蜜を見直し、普段の食生活に取り入れてみてはいかがだろうか。(編集担当:今井慎太郎)