Jフロントがピーコックストアを売却、業界再編はどこまで続くのか

2013年03月05日 11:02

 現在でこそ好感触な景気ではあるが、長らく続いたその低迷等により市場規模が縮小する食品スーパーマーケット市場。しかし帝国データバンクの調査によると、2011年度の売上高が200億円を超えたスーパーストアは184社あり、この184社の売上高総額は2010年度が前年比0.46%増、2011年度も同3.96%増と順調に業績を伸ばしている。また新日本スーパーマーケット協会が310社を対象に調査した統計によると、2012年の総売上高は全店ベースで101.0%と堅調さを維持。しかし既存店ベースでは前年比98.4%となっており、大規模スーパーが業績を伸ばすことで既存中小規模のスーパーが苦境に立たされている状況を窺わせる数字となっている。

 こうした中、J.フロント・リテイリング<3086>が、連結子会社であるピーコックストアの株式全部をイオンに譲渡すると発表した。ピーコックストアは、平成20年9月に大丸ピーコック、松坂屋ストア、横浜松坂屋ストア及び野沢商事の4社が合併して商号変更を行い、J.フロント・リテイリングの完全子会社として首都圏・関西・中部地区において、主として食品スーパーマーケットを運営していた。しかし、業績は低迷を余儀なくされており、平成22年2月期には1232億5800万円であった売上高は、平成24年2月期に1126億2700万円まで減少。当期純利益に至っては平成22年度2月期には1億8700万円であったものが、平成24年2月期には37億3300万円のマイナスとなっていた。こうした状況を受け、また、今後についても、事業環境は一層厳しくなることが予想されることから、よりスーパーストア事業のノウハウを有する他社に譲渡して業績改善を図ることとし、経営資源を百貨店事業その他の事業に集中することが望ましいとの判断に至ったという。

 なお、株式譲渡実行日は平成25年4月1日を予定しており、また同日、同社が株式譲渡実行日時点でピーコックストアに対して有する貸付債権をイオンに譲渡。イオンは、それらの対価として合計300億円を支払う。

 スーパーストアの集約化が進むにつれ、倒産件数も増加。しかし帝国データバンクのデータによると、負債総額は大幅に規模を縮小している。それだけ、小規模なスーパーストアの淘汰が進んでいるということである。今回の株式譲渡により、またスーパーマーケットの集約が進み、中小規模の環境がより厳しいものになる。どこまで業界再編が進み、どう落ちつくのか、注目が集まるところであろう。(編集担当:井畑学)