■DXにもデータセンターにも自動運転にも関われるNTT
NTT(9432)の2026年3月期通期業績見通しは、営業収益が3.5%増の14兆1900億円、営業利益が7.3%増の1兆7700億円、税引前当期利益が6.1%増の1兆6600億円、当期利益が4.0%増の1兆400億円。旧・公営企業らしく堅実な1ケタの増収増益だった。NTTドコモが属している総合ICT事業、データセンターが含まれるグローバル・ソリューション事業、「電話局」以来の地域通信事業、不動産などその他の事業それぞれ営業収益は増収ながら、セグメント利益はグローバル・ソリューション事業だけが増益という状況である。
金融機関向けのDX導入支援、法人向けのシステム開発が堅調で、不動産投資信託へのデータセンターの売却益も業績に寄与している。2025年は住信SBIネット銀行の株式を取得してNTTドコモの連結子会社とし、金融の新サービスブランド「d NEOBANK」を開始した。
2026年に大きな成長が期待される分野「AI(人工知能)データセンター」では、インフラ構築にもシステム開発にもオペレーションにもたずさわれる有利なポジションにある。成長分野「自動運転」でも「NTTモビリティ」を2025年12月に設立した。古くからある固定電話のメタル回線を、光回線あるいはモバイル回線に移行させるプロジェクトに着手しており、多額の投資が必要だが、得られる果実は小さくない。
■KDDIは成長市場をマルチに取り込んでいく戦略
KDDI(9433)の2026年3月期通期業績見通しは、売上高が7.0%増の6兆3300億円、営業利益が5.3%増の1兆1780億円、当期利益が9.1%増の7480億円で増収増益。モバイルも金融サービスも堅調に推移した上に、「非通信」ながら持分法適用会社のローソンが最高益を更新し、業績を押し上げた。
2026年は中期経営計画の「サテライトグロース戦略」をアップデートして、「au」「UQ mobile」「povo」のマルチブランドで提供する5G通信サービスを中心としながら、「データドリブン」の実践や「生成AI」の社会実装をさらに進めていく年になりそうだ。成長市場のAI(人工知能)データセンターについては、国内では大阪府堺市のシャープの工場跡地で2026年1月に稼働を開始し、海外では約600億円を投資して、2027年開業を目指して英国のロンドンにデータセンターを建設している。
お家芸の「DX」、2026年7月に統合・発足するauフィナンシャルサービスなどの「金融」、新電力の「エネルギー」の3領域を中心に積極投資を行っていく構えだが、それに続く成長領域として、「モビリティ」「宇宙」「ヘルスケア」「Web3・メタバース」「スポーツ・エンタメ」の5領域を設定しており、「通信」「非通信」の両輪で、成長分野をマルチに取り込んでいく対象をひろげている。
■ソフトバンクはSBGのAI戦略が強力なバックにつく
ソフトバンクグループ(9984)傘下で、携帯・固定通信ネットワーク基盤にICTソリューションを提供しているソフトバンク(9434)の2026年3月期通期業績見通しは、売上高が2.4%増の6兆7000億円、営業利益が1.1%増の1兆円、当期利益が2.6%増の5400億円で、増収増益を見込んでいる。モバイルでは競合他社で料金改定が相次ぐ中で割安な「ワイモバイル」ブランドの契約数が伸び、法人向けセキュリティーサービスも、キャッシュレス決済サービスの「Paypay」、ネット通販の「Yahoo!ショッピング」「ZOZOTOWN」なども、業績が堅調に推移している。
2026年、成長市場としてクローズアップされることが確実なデータセンターなどAI(人工知能)戦略では、国内外での活発なM&Aによって東京市場で「AI御三家」と呼ばれるソフトバンクグループ(SBG)がバックについていることが非常に大きい。国内通信市場の枠を超えてクラウドサービス、金融、小売、エネルギー、メディア・広告など多彩な事業にコミットし、ソリューションを提供しているので、AI応用の成果が業績にダイレクトに効いてくるのが強みと言える。
2026年4月には創業から35年の歴史があり、上場企業でもあったSBテクノロジーを吸収合併する。法人や自治体のソリューション顧客を多く抱えていて、とりわけセキュリティに関してはその技術力に定評があったので、顧客基盤や技術資産や人材が合流する効果に期待できそうだ。(編集担当:寺尾淳)













