「誰が決めているのか」が見えない政治の正体、内閣・与党・官僚の複雑な三角関係

2026年02月17日 18:10

霞が関

ニュースの主役は誰か?政策決定の舞台裏で動く「3つの組織」の役割分担を徹底整理

 「政府方針を固める」「与党内での調整が難航」「官僚による根回し」。ニュースを見ていると、こうした表現が毎日のように流れてきます。登場するのは、首相や大臣、党の幹部、そして黒子としての官僚たち。誰もが物事を決めているように見えますが、同時に「結局、最終的に誰が決めているのかが分からない」と感じることも多いはずです。

 この役割分担の曖昧さこそが、日本の政治ニュースを難解にしている一因です。明日、2月18日から始まる国会報道を深く理解するために、政権中枢を動かす3つの歯車を整理してみましょう。

 まずは、ニュースの顔となる「内閣」です。首相と各省の大臣で構成される内閣は、いわば「国の経営会議」です。ここでの主な役割は、政治的な大きな方向性(ビジョン)を示すことです。例えば「2年間の大規模減税を行う」といった大方針を掲げ、閣議決定という手続きを通じて、政府としての最終的な意思を確定させます。しかし、内閣だけで政策が完成するわけではありません。ここで登場するのが、実務のプロである「官僚組織」です。

 官僚の役割は、内閣が示した「やりたいこと」を、既存の法律との整合性や具体的な予算の計算、そして実現可能な「法律案」という形に作り上げることです。彼らは高度な専門知識を持ち、数十年先を見据えた制度設計を行います。しかし、官僚が作った案がそのまま国会に出されることはありません。そこに「与党」という強力なフィルターが介在するからです。

 「与党」は、内閣を支える最大勢力ですが、同時に内閣の案をチェックする役割も果たします。自民党などの与党内には「政務調査会(政調会)」という組織があり、官僚が作った案が、自分たちの支持者や選挙公約と矛盾していないかを厳しく審査します。日本には、閣議決定の前に与党が内容を審査・了承する「事前審査制」という独自の慣習があります。今国会の目玉である「所得減税案」や「大規模補正予算案」も、この事前審査で与党側の了承が得られなければ、国会へ提出されることはありません。

 つまり、日本の政策決定は「内閣の意思」「官僚の実務」「与党の政治判断」という3つの承認を経て、ようやくスタートラインに立つのです。

 これほど幾重にもチェック機能があるにもかかわらず、なぜ責任の所在が見えにくいのでしょうか。それは、各組織が互いに「調整」という名のもとに譲り合い、責任を分散させる傾向があるからです。

 政策が成功すれば全員の手柄になりますが、批判を浴びれば「党の要望だった」「官僚のミスだ」「閣僚の指導力不足だ」と、責任の所在が霧散してしまいがちです。この「責任の分散」が、国民から見た時の分かりにくさの正体です。

 明日からのニュースを見る際、登場人物の「肩書き」に注目してみてください。「大臣」が語っている時は政府の公式方針を、「党の幹部」が語っている時はその案が政治的に通るかどうかの瀬戸際を、そして「事務次官(官僚トップ)」などの言葉が漏れる時は実務上の限界点を、それぞれ示唆しています。

 誰が、どの立場から発言しているのか。その立ち位置を意識するだけで、複雑に絡み合った政治の動きが、一本の糸のように繋がり始めるはずです。(編集担当:エコノミックニュース編集部)