10兆円投資の結実か、それともバブルか。2026年、日本発「ユニコーン」輩出を阻む制度の壁と出口戦略の行方

2026年02月20日 07:28

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起業家精神が変える「失われた30年」。政府のスタートアップ5カ年計画が最終盤に突きつける、世界で勝つための非情な条件

今回のニュースのポイント

・資金供給の拡大:政府の呼び水により民間VCの投資額は過去最高水準だが、投資先の選別が本格化している

・多様な出口(EXIT):IPO(新規上場)偏重から、大手企業によるM&A(合併・買収)へと、スタートアップの出口が広がる兆し

・人材の変容:世代を問わず、大手企業からのスピンアウトやリスキリングを通じた起業など、キャリアの選択肢が多様化

 日本をスタートアップ大国にする。この野心的な目標に向けた5カ年計画が、2026年の今、最大の正念場を迎えています。かつては一部の熱狂的な起業家だけの世界だったスタートアップ界隈は、今や国家の成長戦略のど真ん中に据えられました。しかし、潤沢な資金供給という追い風の裏で、日本特有のスケールの壁が改めて露呈しています。

 日本のスタートアップ事情を、広大な苗床(なえどこ)に例えてみましょう。政府の支援という恵みの雨によって、無数の種(起業)が芽吹き、苗は育ちました。しかし、これらを世界を揺るがす大樹(ユニコーン)に育てるには、苗床を飛び出し、厳しい野生の環境(グローバル市場)で戦い抜くための強靭な根っこが必要です。日本には、まだその大樹を支えるための土壌(人材の流動性や失敗への寛容さ)が十分に整っているとは言えません。

 2026年の注目すべき変化は、大手企業がスタートアップを自社に取り込むM&A(合併・買収)の動きを加速させている点です。背景には、既存企業が自前主義を脱し、スタートアップのスピード感や革新的な技術を直接取り込むことで、事業変革を急ごうとする戦略への転換があります。税制面での優遇措置も追い風となり、スタートアップにとって上場以外の有力な出口戦略が確立されつつあります。

 こうした挑戦の最前線にいるのは、自らのキャリアを賭けて未知の領域に飛び込む起業家たちです。彼らの挑戦を単なる博打としてではなく、日本の閉塞感を打ち破る公共の利益として称え、支える文化が醸成されるべきです。政治には、税制や規制緩和というバックアップに加え、挑戦者が失敗しても何度でも立ち上がれるセーフティネットの構築という重い責任が課せられています。

 日本発のユニコーンが世界を席巻する未来。それは、世代を超えた挑戦者の勇気と、多様な価値観を信じて支え抜く社会の度量、そして何より政治の揺るぎない実行力が一つになったときに初めて現実のものとなります。(編集担当:エコノミックニュース編集部)