サントリーが1980年代後半、「はちみつレモン」飲料を開発し、1年間で1500万ケースを売り上げるという大ヒットをきっかけに、カルピスやキリンビバレッジなどの飲料業界各社が様々な「はちみつ」と「レモン」のコラボ飲料を発売し、一時、激しい商品競争が繰り広げられた。「はちみつ」と「レモン」の組み合わせはそのブーム以来、各社、酢や生姜を加えるなどさらに改良を加え、派生商品として現在も様々な形で存在している。
そもそも、この組み合わせが人気を博した理由としては、当時、レモン果汁に「はちみつ」を加えた清涼飲料水は、欧米ではレモネードとして定番商品であったが、日本ではなじみがなく斬新な組み合わせであったことが挙げられる。また、夏場の疲労回復や運動後の栄養補給には、「はちみつ」と「レモン」が効果的だという説があり、その理由としては、「レモン」には疲労の原因である乳酸を分解するクエン酸が含まれていること。「はちみつ」の糖分には、運動などで消耗したエネルギーを補給する働きがあるからだと考えられる。
今年もこの王道コラボを主体とした、新たな飲料が各社より登場している。山田養蜂場は自社ブランド、ハニードリンクシリーズより「蜂蜜れもんドリンク」を発売。原材料は「はちみつ」と国産の「レモン」だけ。レモンの香りは皮の油分(揮発成分)に多く含まれていることを考え、皮ごと使える愛媛県産の「ノーワックスレモン」を採用しているという。香料・人工甘味料・保存料はもちろん、水を一滴も使わずつくりあげているのが特長だ。
さらに1月にはアサヒ飲料が、果実を食べたときのようなつぶつぶとした食感が特長の新食感果実飲料「バヤリース つぶリッチ」シリーズから「バヤリース つぶリッチ はちみつレモン ボトル缶410g」を発売。7月12日にはサントリー酒類がアルコール分3%の缶入りチューハイ「ほろよい」シリーズから、「ほろよい〈はちみつレモン〉」を発売している。
一般的にさっぱりとした柑橘系の香りには、リフレッシュ効果もあるといわれている。節電の夏、クーラーの効かない場所での休息時、癒し系ドリンクとしてこの「はちみつ」と「レモン」のコラボは今年も定番人気となるだろう。