第3世代e-POWERやゼログラビティシート、14.3インチ統合ディスプレイなどを採用した新型「エルグランド」の車内。日産は快適性と上質な移動空間を追求し、「移動するラウンジ」という新たな価値を提案している。(画像:日産自動車ニュースリリースより)
今回のニュースのポイント
日産自動車は16日、新型「エルグランド」を発売しました。第3世代「e-POWER」や進化した電動駆動4輪制御技術「e-4ORCE」、国内モデル初となる14.3インチ統合ディスプレイなどを採用し、高級ミニバンとしての快適性と上質な移動空間を追求しています。高級ミニバン市場では、単に広い室内や豪華な装備を競う時代から、「移動時間そのものの価値」を高める競争へと軸足が移りつつあります。日産は新型エルグランドを通じて「移動するラウンジ」という新たな価値を打ち出し、ブランドのフラッグシップとして再び存在感を示せるかが注目されます。
本文
日産自動車が全面的に刷新して発売した新型エルグランドは、単なる移動手段としての自動車の枠組みを超え、車内での時間をいかに贅沢に過ごすかという空間デザインの追求に主眼が置かれています。
今回のモデルに与えられたデザインコンセプトは「The private MAGLEV(リニアモーターカー)」です。リニアなスピード感と、日本のフラッグシップにふさわしい威風堂々とした佇まいが融合した唯一無二のエクステリアを実現しました。日本の伝統工芸である「組子」をモチーフとしたシャープなフロントグリルや、樹脂フィニッシャーを組み合わせた緻密な軽量アルミホイールなど、外観の端々にはタイムレスなジャパンフューチャリズムが宿っています。
しかし、新型エルグランドのイノベーションの真髄は、その外観以上に徹底して磨き上げられたインテリア、すなわち「車内空間」にあります。目指したのは、特別なプライベートラウンジのような空間です。車内を単に「人が乗って移動する場所」としてではなく、最高級ホテルのラウンジやプライベートシアター、あるいは一流の客室のように仕立て、移動中の体験そのものを最大化するという全く新しい発想で設計されています。
車内の過ごし方に劇的な変革をもたらすため、新型エルグランドには日産の誇る最先端の快適技術とデジタルデバイスが惜しみなく集約されました。
パワートレインには、新たな専用設計によって静粛性と燃費性能を大幅に向上させた、効率的な発電特化型エンジン(ZR15DDTe)と5-in-1電動ユニットで構成される第3世代「e-POWER」を採用。100%モーター駆動による滑らかで力強い走りを実現しています。これに加え、日常のあらゆる加減速やコーナリングでの不快な揺れを抑える電動駆動4輪制御技術「e-4ORCE」、4輪の減衰力をシーンに応じて自動可変する「インテリジェントダイナミックサスペンション」を搭載。世界初となるエンジン騒音とロードノイズの双方を低減するアクティブ・ノイズ・コントロールや、停車時の姿勢変化を最小限に抑えるスムースストップ機能と組み合わせることで、上質な乗り心地を追求しています。
車内エンターテインメントや居住性も充実しています。インストルメントパネルには国内モデル初の14.3インチ大画面統合型ディスプレイを配置し、Google搭載によりナビゲーションや各種アプリを車内でシームレスに利用できます。最大64色に切り替え可能な間接照明が乗員を優しく包み込みます。さらに全席に人間工学に基づく「ゼログラビティシート」を採用し、2列目は大人でも寝返りが打てるほどの幅広設計とした上で、助手席と合わせた3席でオットマンの同時使用を可能にしました。さらに没入感あふれる3Dサラウンドを再生する「BOSE22スピーカープレミアムサウンドシステム」を搭載しており、車内は「動く最高級映画館」を目指した空間となっています。
これまで、高級ミニバン市場における覇権争いは、競合他車を含めて「室内の圧倒的な広さ」や「分かりやすい豪華な加飾装備」の多さを誇示するスペック競争が主たる動向でした。
しかし、市場の成熟に伴い、ユーザーが求める本質は単なる物理的なスペースの広さから、空間の中で得られる「体験の質」へと移行しています。どれほど遮音が行き届き、移動中の静粛性を保てるか。車内でスマートフォンや仕事、映像鑑賞をストレスなく行える高度なデジタル体験が整っているか。そして、長距離を走っても乗員に疲労を感じさせず、目的地へ上質に到着できるかという総合的な設計力こそが、新たな時代の差別化要素となっています。
新型エルグランドは、従来の「広いミニバン」という設計思想から脱却し、最新テクノロジーによるノイズの徹底排除とデジタル機器の融合に照準を合わせることで、現代のラグジュアリー層が真に求める移動時間へのソリューションを提示しています。
エルグランドという車名は、かつて日本の高級ミニバン市場のパイオニアとして君臨し、プレミアムセグメントにおける日産のブランド力と信頼性を強烈にアピールしてきた絶対的な象徴でした。
今回、全面刷新されて市場に送り出された新型エルグランドは、日産の「フラッグシップ」として極めて重要な位置付けを与えられています。これは単に収益性の高いラージサイズミニバンの新型という位置付けに留まりません。先進の知能化技術である「プロパイロット2.0」や「プロパイロットパーキング」などの高精度な安全運転支援技術に加え、Googleを深く統合した最新のNissanConnectサービス、リアルタイム安全通知サービス「みまもりドライブ」の初搭載にいたるまで、日産のブランドバリューを体現する先端技術のショーケースとしての役割を担っています。ブランドを牽引する中核として、その注目度はきわめて高くなっています。
新型エルグランドの全国希望小売価格は、標準モデルである「X e-4ORCE」の6,897,000円から、上級グレードの「G e-4ORCE」が7,579,000円というプレミアムな価格帯が設定されています。さらに、ショーファーカーとしての上質な移動空間を追求した「VIP」仕様の価格は8,698,800円に達しており、プレミアム市場の顧客層を強く意識した本格的なポジショニングがなされています。また、湘南の海を想起させるドットフロントグリルやプレミアムナッパレザーをあしらった「AUTECH」仕様(8,247,800円)など、個性を重んじるカスタマーのための豊富なラインアップも大きな特徴です。
これからの高級車市場を生き残る上で決定打となるのは、競合車とのスペックやサイズの細かな比較ではなく、購入したユーザーに対して「この車内で過ごす時間そのものが何物にも代えがたい価値である」という体験価値をいかに説得力を持って提供できるかです。
「移動するラウンジ」という日産独自の空間価値が、高級ミニバンという成熟した激戦市場でどれほどの支持を集めることができるか、今後の販売動向や市場の評価に大きな注目が集まりそうです。
新型エルグランドは、パワートレインや先進装備の進化だけでなく、「移動時間そのものの価値」を高めることを前面に打ち出した一台となりました。高級ミニバン市場では、広さや豪華さに加え、静粛性や快適性、デジタル体験まで含めた総合的な移動空間の質が競争力となりつつあります。日産が掲げる「移動するラウンジ」という考え方が、ブランドの存在感を再び高める契機となるのか、その市場評価が注目されます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













