NYダウはADP雇用統計が市場予測以上に良く、地区連銀経済報告(ベージュブック)で全米規模の景気回復が確認され42ドル高。7日朝方の為替レートはドル円が94円近辺、ユーロ円が122円近辺で前日より円安が進行した。シカゴCME先物では先に12000円台に乗せていた日経平均は104.98円高の12037.25円とあっさり大台に乗せて始まる。前場途中で割り込んでも前引けでは回復。日銀の金融政策決定会合の結果は政策金利も含めて政策は据え置きで、景気判断は引き上げた。しかし、後場は大台割れでスタート。2月の東京都心部オフィス空室率の悪化、アジア市場の軟調、メジャーSQ前日のポジション調整、ECB理事会やアメリカの雇用統計発表前の様子見などマイナス要素はいろいろ考えられたが、日経平均は徐々に下がっていき午後2時台には11950円をも下回り、TOPIXがマイナスになる「NTねじれ現象」まで出現した。結局、終値は6日続伸したが35.81円高の11968.08円で大台を回復できず尻すぼみ。値下がり銘柄数817が値上がり銘柄数765よりも多く、TOPIXは+1.13の1004.35とわずかな上昇にとどまった。売買高は31億株だが売買代金は2兆円を超えている。
東証33業種騰落率で上昇したのはゴム製品、鉱業、その他製品、繊維製品、医薬品など。下落したのは倉庫・運輸関連、銀行業、建設業、鉄鋼、ガラス・土石製品などだった。
ファーストリテイリング<9983>は前日まで2日で上げ幅が3500円を超え、1銘柄だけで日経平均を140円も上昇させたのでさすがに息切れし250円安と反落。ソフトバンク<9984>も後場は大きく下落して80円安で引け、ともに日経平均を押し下げた。ファナック<6954>は60円高だった。
自動車ではマツダ<7061>が売買高2位、売買代金2位と買われ、株価も2ケタ上昇の13円高。しかしトヨタ<7203>は5円高にとどまり、一時金満額回答のホンダ<7267>は20円高だが日産<7201>は13円安だった。自動車部品のデンソー<6902>が40円高と買われていた。鉄鋼は原料の鉄鉱石価格が3割上昇と報じられ新日鐵住金<5401>は2円安、JFEHD<5411>は18円安、神戸製鋼<5406>は2円安と不調。電機もふるわずソニー<6758>、パナソニック<6752>はともに11円安、シャープ<6753>は27円安で値下がり率2位になった。
オリンパス<7733>は有利子負債を来年3月までに1000億円削減するニュースが好感され116円高で昨年来高値を更新し、好調なアメリカの宅需要が業績に寄与する信越化学<4063>も昨年来高値を更新して70円高、京セラ<6971>も170円高と好調だった。しかしコマツ<6301>は69円安で、リコー<7752>、横河電機<6841>、日揮<1963>なども株価を下げている。
アメリカのバイオ医薬品会社を約160億円で買収すると報じられた味の素<2802>は昨年来高値を更新し2円高、アメリカで自社ブランドのビールを7割増産と報じられたサッポロHD<2501>も昨年来高値を更新し9円高、中国でプレハブ住宅を生産すると報じられた大和ハウス<1925>は29円高と、「新聞に海外材料が出た内需系」が買われたのがこの日の特徴。海外材料がよく出るJT<2914>も35円高で年初来高値を更新した。
震災復興・国土強靱化関連の低位株、ラサ工業<4022>が18円高で値上がり率10位、売買高3位に入る人気ぶり。PM2.5関連と目されるテイカ<4027>はストップ高比例配分で値上がり率2位。上限30億円の自社株買いが好感されトレンドマイクロ<4704>は120円高。メディア関連では、「ニコニコ動画」のドワンゴ<3715>がエイベックスGHD<7860>の保有株の一部が日本テレビHD<9404>に移る話で買いを集めストップ高比例配分、値上がり率5位になり、100円の電子書籍を発売するニュースで角川GHD<9477>は21円高と買われていた。
三大メガバンクは揃って下落し、特に三井住友FG<8316>は95円安。野村HD<8604>も5円安で銀行・証券は全般に伸び悩んだが、26円高で昨年来高値を更新した大和証券G<8601>の元気さが目立っていた。
この日の主役は「タイヤメーカー」。日経新聞の「新興国の需要が好調でタイヤ3社は今期営業最高益の見込み」という記事にシティグループ証券による投資判断引き上げが重なり、ブリヂストン<5108>は125円高、横浜ゴム<5101>は12円高、住友ゴム<5110>は32円高と、3社とも昨年来高値を更新した。東洋ゴム も5円高で昨年来高値を更新している。また、タイヤ原料を手がける有機合成薬品工業<4531>はストップ高比例配分で値上がり率1位になった。新興国市場でも日本製タイヤの強みは低燃費で、今後、原油価格が上昇すれば燃費性能で選ばれて日本製への履き替えが進みそうだ。(編集担当:寺尾淳)