今週の振り返り しばらく忘れていたが、やっぱりヨーロッパは怖い

2013年03月02日 18:09

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「黒田総裁」内定で急上昇した後はイタリアショックで大幅下落という落とし穴が待っていた。

 「黒田総裁」内定で急上昇した後はイタリアショックで大幅下落という落とし穴が待っていた。

 前週末22日のNYダウは119ドル高で14000ドル台回復。HPやAIGの好決算に加え、セントルイス連銀のブラード総裁が「量的緩和は当面続く」とほのめかしQE3出口論議騒ぎの沈静化を図ったのも効いた。日米首脳会談の共同声明は「全品目がTPP交渉対象。交渉参加では全関税撤廃の約束は求めず」で、日本のTPP参加の道が開けた。アベノミクス批判はなかったが、シェールガスは「前向き」と報じられながら対日輸出の具体的な約束はなかった。

 25日未明に「政府が日銀総裁に黒田東彦氏を提示」の第一報が流れ、朝方の為替レートはドル円は94円台前半、ユーロ円は124円台半ばと円安が進行。アジア開銀総裁を務める国際派で、財務省で財務官まで務めながら政府・日銀の消極的な金融政策を批判してきた人物の総裁就任、積極的金融緩和論者の学習院大学・岩田規久男教授の副総裁就任をマーケットは歓迎。野村証券は日経平均の年末目標株価を14500円に引き上げた。

 日経平均始値は178.61円高の11564.55円で、すぐ11600円台にタッチした。その後は為替が円高方向に戻ったため11500円台後半に戻ってしばらく落ち着くが、後場途中からまた11600円台に乗せ、午後2時台にはさらに上昇し、終値は276.58円高の11662.52円の高値引けだった。2008年9月29日以来の水準で、売買高は33億株だが売買代金は2兆円超え。TOPIXも980台に乗せて終えている。

 値上がり銘柄が全体の約8割を占める全面高で東証33業種は32業種がプラス。騰落率上位は海運、鉄鋼、不動産、石油・石炭、非鉄金属など。下位は小売、電気・ガス、陸運など内需系が主だった。

 26日未明、イタリアの総選挙の大勢が判明し、上院はどの政治勢力も過半数を取れず、下院は経済改革継続派の中道左派連合が制したが日本と違って「下院の優越」はなく、誰が首相になるかわからない状態で再選挙も取り沙汰される。政治空白はベルルスコーニ氏率いる中道右派が大勝するよりある意味、憂慮すべき事態で、26、27日のイタリア国債入札が危ぶまれた。
 
 NYダウは216ドルの大幅安。為替レートは一時、ドル円90円台、ユーロ円118円台と1ヵ月以上前の水準に逆戻りした。26日の東京市場開始までに戻したが、それでもドル円は92円台半ば、ユーロ円は120円台半ば。シカゴCMEの日経平均先物は一時500円を超える暴落を記録した。東京市場の現物は212.86円安の11449.66円で始まり、値が付くにつれてさらに下落し11374円まで下げたものの、その後は徐々に切り上がっていく展開。しかし、後場に入るとユーロが一段安になって日経平均は再び低迷し、終値は263.71円安の11398.81円と11400円を割った。売買高は39億株、売買代金は2兆2120億円と商いはふくらんだ。

 全面安で業種別騰落率のプラスは水産・農林、不動産、海運、その他金融の4業種のみ。下落率が大きいのは鉄鋼、精密機器、金属製品、ゴム、電気機器などだった。