NYダウはISM非製造業景況指数が高水準だったことやFRBの量的緩和継続期待などを背景に125ドルの大幅高で終値14253.77ドル。2007年10月9日の史上最高値を余裕で更新し〃未体験ゾーン〃に突入した。6日朝方の為替レートはドル円が93円台前半、ユーロ円が121円台後半であまり動いていなかったが、NYダウに連動して日経平均は127.61円高の11811.06円と11800円台に乗せて始まる。前場は11800円台前半で安定していたが、後場は一段高で11850円を突破し、たびたび11900円台にタッチした。相場の強さは大引けまで変わらず、終値は248.82円高の11932.27円と4年5ヵ月ぶりの11900円台に乗せた。TOPIXは+14.60の1003.22の高値引けで1000台に乗せて終わっている。
この日も8日のメジャーSQを意識して「日経平均寄与度御三家」のファーストリテイリング<9983>とソフトバンク<9984>に買いが集中する動きがあり、ファーストリテイリングは売買代金ランキング4位で2170円高、ソフトバンクは同3位で240円高になり、2銘柄で日経平均を115円も押し上げ上昇幅の約46%を占めた。売買高は29億株だが売買代金は2兆円を突破し、値がさ株への売買の集中ぶりを裏付ける。
騰落率上位業種は保険、小売、倉庫、情報・通信、サービス、精密など。騰落率マイナス業種はパルプ・紙、水産の2業種だけで、プラスの騰落率が低かったのは石油、建設、鉱業、鉄鋼などだった。
取引時間前から注目の的だったのが韓国・サムスン電子との資本・業務提携を発表したシャープ<6753>で、売買高、売買代金ともトップで、42円の大幅高は値上がり率12位だった。3月中に実施する第三者割当増資約100億円をサムスンが引き受け、出資比率はクアルコムと並び約3%になる見込みで、3月期決算で財務内容を強化できる。サムスンはシャープからテレビ、スマホ用の液晶パネルの供給を受ける。グズグズ言い続けた台湾の鴻海を尻目にサムスンが話をサッと決めた背景には、昨年夏から約25%もウォン高円安が進行し、韓国企業にとって日本企業が「お買い得」になっている事情もある。2013年は「韓国企業による日本企業のM&A元年」になるかもしれない。
決算前の資産処分市はソニー<6758>だけでなくパナソニック<6752>も同様で、東京支社が入る東京汐留ビルを約500億円で売却し11円高。37円高のソニーに持株を処分されたDeNA<2432>は51円安と続落した。グリー<3632>は2円高だった。
日経新聞朝刊一面でアメリカが自動車をTPPの関税撤廃の猶予対象にすると報じられたが、自動車株はおおむね好調。2月の車名別新車販売台数が発表され、小型ハイブリッド車「アクア」が5カ月連続首位で「プリウス」とワンツーフィニッシュを決めたトヨタ<7203>は95円高、「ノート」と「セレナ」が健闘して10位以内に入り明るさが見えた日産<7201>は、ルノー工場で日産車を生産してルノーの雇用を支えるというニュースがブレーキで4円高。ホンダ<7267>は70円高、マツダ<7261>は7円高だった。
株価を大きく上げた主力銘柄には210円高のKDDI<9433>、157円高のセブン&アイHD<3382>、106円高の中外製薬<4519>、100円高の東京エレクトロン<8035>などがあったが、ファナック<6954>は30円安、コナミ<9766>は26円安でカヤの外だった。この日、伊勢丹新宿本店がリニューアルオープンした三越伊勢丹HD<3099>は38円高で昨年来高値を更新。iPS関連の新日本科学<2395>は値上がり率2位の400円高と相変わらず人気だが、含み資産関連は安田倉庫<9324>が値上がり率3位の231円高だった一方で、東京都競馬<9672>が9円安で値下がり率7位になり明暗が分かれた。TPP・農業関連は日本配合飼料<2056>が値下がり率3位、井関農機<6310>が同5位。日本製紙G は121円安と大幅続落し値下がり率1位だった。
この日の主役は、前日に熊本県、山口県と福岡市が注意喚起を行い、大阪府でも基準値超えが続いている「PM2.5」関連銘柄。値上がり率ランキングでは1位に子会社の神栄テクノロジーが「浮遊粒子センサー」を製造している50円高の神栄<3004>、7位にPM2.5の観測装置を製造する80円高のA&D<7745>、9位にマスク素材を製造する73円高の日本バイリーン<3514>、11位にクリーンルームやエアーシャワーを手がける100円高のエアーテック<6291>、12位には空気清浄機でこの日35円高のダイキン<6367>、11円高のパナソニックとともに世界三大メーカーに数えられる42円高のシャープが入った。観測装置を出している堀場製作所<6856>は8円高、日機装<6376>は35円高で、防護マスクの技術を持つ興研<7963>は400円高、重松製作所<7980>は150円高でともに昨年来高値を更新した。花粉症もピークを迎えており、この材料ではまだまだ買われそうだ。(編集担当:寺尾淳)