3月8日は「国際女性デー」。毎年この日には、女性の権利と世界平和を目指し、世界中で記念行事が開催される。昨年の女性デーのテーマは「農山漁村部の女性のエンパワーメント:飢餓と貧困の根絶」 。アフリカなど貧しい農村地域に住む女性たちの支援がうたわれている。潘基文(パン・ギムン)事務総長は、「農村の女性たちは世界人口の4分の1を占めながら、すべての経済・社会・政治指標において常にあらゆる面で最下位にある。農村女性に投資することは、国の発展への賢い投資だ」とのメッセージを発表した。
そもそもの国際女性デーは、女性参政権の獲得を目指した運動がはじまり。1904年のこの日、ニューヨークの女性労働者が参政権を求めて集会を開き、1910年の第2回国際社会主義女性会議で正式に制定された。
あれから103年が経った今、女性参政権を認めていないのはバチカン市国やブルネイのみとなった。イスラム教の厳しい戒律をもつサウジアラビアでさえ、「アラブの春」を背景として、2015年から女性の立候補や投票を認めると発表している。
もともとは参政権獲得を目指した運動がルーツの国際女性デー。当時、先進諸国で政治への意思決定を求めて闘った女性たちの目には、アフリカやサハラ以南の農村に住む女性たちの存在は映っていなかっただろう。100年前の「女性」とはおそらく、先進諸国の白人女性だけを指していた。比較的裕福な階級の彼女たちと、貧しい農村との距離はあまりに遠かったのだ。
だが「アフリカの年」と呼ばれた1960年以降、植民地が次々に独立していく中で、貧しい国で労働力の主な担い手となっている女性(や子どもたち)にもようやく目が向けられるようになった。21世紀の今、基本的な権利を求めて闘うべきは農村の女性たちとなっている。
先進国と発展途上国、都市と農村、白人と有色人種……。一口に女性と言っても、状況は当然だが異なっている。その多様な違いを前提にしつつも、女性が「女性」というだけで1つの目標に向かえる日は来るのだろうか。国際女性デーに改めて考えたい。