「専業主婦VSワーキングマザー」の構図は有効か

2013年02月12日 11:44

 「ワーキングマザーがいちばん楽しい」。昨年5月に、それまでの30代キャリア女性向けからワーキングマザー向けへとリニューアルした雑誌『Grazia』のキャッチコピーである。ワーキングマザーバブルといわれるほど働く女性がもてはやされる中、『Grazia』は流行を上手くとらえたとして話題になった。

 その『Grazia』が先日、300名の女性を対象とした「専業主婦VSワーキングマザー」というアンケートを公開している 。

 「20代の自分と最近の自分、どちらが素敵だと思いますか?」という問いでは、ワーキングマザーは「最近の自分」、専業主婦は「20代の自分」の割合が高い。働く女性は仕事を通して自分に自信をつけているのだろうか。また「男友達とママ友、どちらといる方が楽しい?」については、ワーキングマザーは「男友達といる方が楽しい」、専業主婦では「ママ友といる方が楽しい」との回答が多いなど、それぞれの事情が垣間見える。

 今や子どもをもつ母親の6割が働いており、ワーキングマザーは多数派となった 。とはいえ子育て期にあたる25歳~44歳の女性の就業率は66.9%と、未だに「M字型カーブ」を描いており、企業における女性の活用もあまり進んでいない 。出産後も働き続ける女性は増えたが、一方で専業主婦志向も根強い。多くの女性は選択肢が多様化したことで、かえってロールモデルの不在に悩んでいるように思う。

 『Grazia』のアンケートでは予想に反してといってよいのか、「これまでに離婚を考えたことがある?」(約6割が「ある」)や「努力とお金、どちらで人生が変わると思う?」(約6割が「お金」)、「子どもの小学校受験を考えている?」(約9割が「考えていない」)などの項目でワーキングマザーと専業主婦の回答がほぼ同じとなった。

 さらに両者とも約75%が「今の自分は幸せ」と答えるなど、表題の「専業主婦VSワーキングマザー」にあるような対立を匂わせるインパクトはないようだ。仕事の有無にかかわらず、「子どもがいる女性」としての価値観はそこまで変わらないのかもしれない。専業主婦とワーキングマザーの対立を煽るよりも、多くの女性が子育てを楽しめる社会を目指す方が得策なのは明白だろう。