女性の「活用」と「優遇」の違い~業績を伸ばす企業の傾向とは~

2013年02月12日 11:24

 「女性が活躍する企業は業績が良い」とはよく言われるが、本当だろうか。長引く不況にあえぐ日本企業の多くでは女性の活用が進んでおらず、企業に占める女性管理職の割合も部長以上で4.5% 。20年前と比べて4倍近くなっているものの、欧米諸国の大多数が30%以上であることを考えると低い水準にとどまっている。厚生労働省のホームページにあるように、企業は女性を活用することで「有用な労働力を確保でき、グローバル化の中で企業の戦力アップ 」することができるのだろうか。

 21世紀職業財団の研究では、「女性の能力促進のための取り組みが進んでいる企業ほど成長性が高く、業績も良い」という 。また経済産業省による調査では、「女性社員の割合が高い企業ほど利益率が高い」という結果が出ている。女性を積極的に採用することで、業績が良くなるとの見方は正しそうだ。

 ところが実際には、やみくもに女性社員の数を増やしても業績が良くなることはない。単に女性社員の比率が多く、育休制度が充実しており残業時間が少ないなど「女性に優しい会社」というだけでは業績アップにはつながらないのだ。「女性比率が高い企業は利益率が高い」というのは見かけ上の相関であって、真の要因は別のところにある。

 では実際に経営パフォーマンスの高い企業にはどのような風土があるのだろうか。企業の利益率と関係しているのは、女性比率の高さに加え「男女勤続年数の格差が小さい」、「再雇用制度がある」、「女性管理職比率が高い」などの要因であるという。

 つまり男女や年齢に関わらず、全ての社員を上手に活用して利益を上げるような企業ほど女性の活用も進んでいるということだ。「女性が活躍している企業ほど業績が良い」というが、実際そのような企業では女性が優遇されているわけではなく、能力や成果によって平等に評価される仕組みがあるために、男女関係なく社員が活躍して業績が良くなるというだけのことである。
 
 考えてみれば当たり前の話ではあるが、同質性が高い男性中心の年功序列制で成長してきた多くの日本企業にとっては、耳の痛い話かもしれない。