丸紅は、中国の「旺旺グループ」と戦略的包括提携に関する意向書を締結し、同グループが持つ食品加工業および関連事業において戦略的提携関係を構築することで合意に達したと5日に発表した。丸紅は今後、旺旺グループとともに中国での食品事業を展開し、拡大する中国内需の取込みを図るとともに、自社が持つ世界的なネットワークを活用し、海外での協業体制の構築を図る。
旺旺グループは、食品加工を中心に、農業や不動産事業、外食産業、マスメディアといった多岐にわたる事業を中国本土および台湾で展開する中国有数の企業集団である。中でも食品加工業の年商は2,244百万ドルで、中国本土に100ヵ所以上の工場と300ヵ所以上の営業所を有する。グループ全体の従業員数は50,000人を超える。
丸紅は、2010年5月に発表された中期経営計画「SG―12」において、需要拡大を続ける中国・アセアン地域での内需の取り組みを重点分野と位置づけ、中国市場を重点地域に指定し取り組みを強化してきた。一方、旺旺グループは、現在、事業規模および事業領域の拡大方針を掲げており、海外企業との提携強化を模索している。そんな中で今回、両社が食品加工業およびそのほかの事業領域における戦略的提携関係の構築に至った。
このたび発表された戦略提携で丸紅は、旺旺グループが展開する食品加工業の拡大だけでなく、食品加工以外の新規分野として、小売や物流、外食事業、および関連事業分野での共同事業化などを推進。さらに海外市場においても、旺旺グループとの共同展開を視野に入れ、可能性を検討していく。また、両社の関係強化の一環として、定期的な人材、関連技術、企業文化の交流を推進し、両社の人材強化や技術力向上を図り、WIN-WINの関係の構築を目指す。
中国の一大グループと日本の大手商社の戦略的提携が、今後、中国市場および日中企業の提携の動きにどのような影響を与えるのか、注目が集まる。