国土交通省は負債14兆円、繰越欠損金3500億円という莫大な負債を抱える独立行政法人都市再生機構に対し、組織と業務の両面でメスを入れ、改革を具現化するための改革工程表を策定。1日、公表した。
組織改革では事業目的別に賃貸住宅部門、都市再生部門、ニュータウン部門に区分を明確化し、組織内カンパニー制度を導入。今年度から試行。来年度から本格実施に入る。
これは、財務と統治を鮮明にすることにより、財務や業務の管理、組織運営の徹底を図るもので、3つのカンパニーそれぞれに、それぞれの執行責任者を設け、業務情報・財務情報の開示を行う。あわせて、機構の重要な意思決定は全役員で構成する理事会の審議を経ることとし、株式会社的な意思決定機能を活用するとしている。
また情報開示は原則として民間企業と同じ基準や考え方に基づき、開示の徹底を今年度から実施する。特に、都市再生事業では事業完了後には収支や国費投入状況に関する情報のうち、機構の利益を不当に害するとして非開示としていた情報も含め公表するとしており、情報公開の徹底姿勢を打ち出した。そのことによる透明性と事業効率化が期待されている。また、国出資金の執行管理の強化を図る。
このほか、業務改革のうち、賃貸住宅部門では既存賃貸住宅の再生・再編、高額家賃物件の譲渡を今年度から順次進めるとしている。国民は工程表通りに成果があがっていくかどうか、監視していく必要がある。
大畠章宏国土交通大臣は「都市再生機構の事業規模を縮小し負債を圧縮するため、今年度中に都心部の高額家賃物件の公募手続きに入り、機構の財務体質の改善につながる価格で譲渡等を行う。また、都市再生事業については、新たに策定した事業実施基準に基づいて行う。関係会社については利益剰余金140億円を機構に返納するよう要請し、機構の負債の圧縮と国費の負担軽減に充てるほか、震災に対応した業務にも充てることを期待している。また、会社自体は整理・統廃合を進める」と記者会見で機構改革への思いを語った。
(編集担当:福角忠夫)