スポーツ健康増進施設「尼崎スポーツの森」が5年連続利用者数を伸長

2011年06月27日 11:00

 利用者数が伸び悩むスポーツ施設が多い中、5年連続利用者数を伸ばし続けている施設があるという。兵庫県が取り組んでいる「尼崎21世紀の森づくり」の中核施設として建設された「尼崎スポーツの森」だ。同施設は開館翌年の平成19年に年間約36万人であった利用者数を平成22年度には46万人とし、当初の推定利用者数を遙かに上回っている。5月29日に開催された5周年記念イベントを取材し、利用者を伸ばし続けている理由について探ってみた。

 「尼崎21世紀の森づくり」とは、平成14年3月に、国道43号以南の臨海地域(約1,000ha)である工業地帯を対象区域とし、100年間を時間軸に「森と水と人が共生する環境創造のまち」をテーマに策定されたもの。そのなかで「尼崎スポーツの森」は、スポーツ健康増進施設として平成18年5月末に運営が開始されている。同施設には、国内公認25m屋内プールと国際公認50m屋内プール(冬はアイススケートリング)があり、スポーツジム、フットサルコート、グラウンド・ゴルフコース、そして森の子ども広場や屋外型ファミリー向けウォーターパーク「アマラーゴ」を有し、「森の親水空間」が広がるコミュニケーションエリアとなっている。

 同施設の今里館長に利用者が増えている要因について話を聞いてみたところ、「まず、お客様から耳にする施設の使い易さ、満足度の高さに続いて、阪神間の中央に位置し、アクセスの良さが挙げられるでしょうね。阪神高速尼崎末広IC(フルランプ)より約3分。神戸、大阪市内から乗っても20分前後と高速料金も700円で利用できる。当初は尼崎市、隣の西宮市を中心とした阪神南・北地区の利用者を想定していましたが、実際は大阪からの利用者も多い。これは嬉しい誤算でした」と答えてくれた。利用者にとっては、駐車場が1000台あり、無料という点も大きな魅力となっているようだ。

 さらにこの施設は、「尼崎スポーツの森」が兵庫県初のPFI事業(Private Finance Initiative)による建設・運営を行ったことで、民間企業であるヤマハ発動機が構成員となるSPC(Special Purpose Company)あまがさき健康の森(株)が運営を任されていることも利用率増加に繋がっていると考えられる。例えば、アマラーゴは安全性に定評のあるヤマハ発動機のFRPプールによる設計と屋内25プールには国内では珍しいコース巾2,5m14コース(可動床式)を導入。楽しんで水泳を習う人だけでなく、水中運動やアクアビクスを目的とする人々への誘致にも繋がり、遠方から訪れる人も多いという。また、同社のこれまでの実績ある宣伝戦略のノウハウをフルに使えること、さらには自治体、団体等の応援と同社関連のメディアに多く露出することもできたことで、認知度が加速度を増して高まっていったという経緯もあるのだろう。

 昨年、同施設が夏に実施したアンケート調査によると、来館後に満足したと答えた人が90%を超えていたという、驚異的な数字も実証されている。しかし今里館長はここで満足は決してしないという。「今までは利用者数も着実に伸び、順調に運営していますが、今後はまず年間50万人という利用者を目標にしたい。夢としてはフットサルコートを全天候型にする、同施設でサッカー選手、アイススケート選手、水泳選手を育成するクラブチームの支援など数多くありますが、2008年に行ったギネス世界記録を達成した『265人でアクアビクス』のような、楽しい企画も実施していきたいですね」と語る。

 科学的根拠を実証しないまでも、身体を動かすことが、心身ともの健全に繋がることは間違いないだろう。同施設のような成功事例は業界内外からも注目されている。今後のユニークな活動に注目していきたい。