6月19日の父の日に向け、百貨店やショッピングモール、インターネットのショッピングサイトなどでは、セレクトされた商品をディスプレイしたコーナーが設けられている。母の日に比べその商品数の薄さなど、若干、盛り上がりには欠けるが、年に1度、家族のために頑張っている父親へ感謝の意を伝えたい、という人が多いのも事実だろう。
マイボイスコムが昨年の7月1日から5日に『父の日のプレゼント』に関するアンケート調査をインターネット上で実施している。13919件の回答(複数回答)を集めた結果、『父の日』は「プレゼントを贈った」(31%)が最も多く、「衣料品」「食品・お菓子」「酒」が上位3位を占めている。また、貰う立場の父親側に、ほしいものを聞いたところ、「感謝の気持ち」(27%)が1位、以下、「酒」「一緒に家で食事をする」「一緒に外食をする」となっている。
このアンケート結果を見てもわかるように、贈る立場と貰う立場の想いが若干ずれていることが分かる。父親は「感謝の言葉」や「一緒に食事」など、プレゼントという物質的なものより、言葉や触れ合いを求めているようだ。母親に比べ、普段、共に過ごす時間が父親にとって子供と一緒に過ごすということが、何より嬉しい贈り物のようだ。
しかし実際は、飲食店で父の日限定のキャンペーンを行う店は多くはない。思春期の子供にとっては家族と、ましては父親と出かけることに抵抗があるため、利用する客が少なく、売上に直結しないのが理由だろう。そのような中、父の日にキャンペーンを打ち出し、成功を収めている店舗がある。それがサトレストランシステムズが全国展開する「和食さと」だ。同店によると例年、「母の日」「父の日」には特別メニューを用意しているが、開始当初は「母の日」に比べ「父の日」は売上を見ても盛り上げにかけるイベントだったという。しかしここ2年は、一年の中でも売上高が5位に入るほどの繁忙期となっているという。
その理由は、キャンペーン内容を2年前より「さとしゃぶ食べ放題」としたことが考えられる。「さとしゃぶ食べ放題」は2年前より始めたメニューだが、ファミリーレストランとしては珍しい食べ放題という点が人気を集め、6月に2周年を迎えるとともに総注文数300万食を突破する見込みだという。しゃぶしゃぶは冬のメニューという定番を覆し、6月という梅雨時期に売上がベスト5に入ることを見ても、その人気ぶりが分かる。ファミリーレストランはそれぞれに定番メニューはあるが、この価格帯で、年間100万食を超えるスピードで注文されるのは珍しいといえるだろう。
また「さとしゃぶ食べ放題」は、プレミアムコースになると、しゃぶしゃぶだけではなく、寿司や一品料理も食べ放題になるなど、幅広い世代からの支持率が高い。「今日は父の日だから、家族で外食をしよう」という母親からの提案も、ファミリーレストランという気軽さから、思春期の子供でも気負うことなく父親と食事に出かけるようだ。
震災以来、被災地以外の人も家族の絆について考える機会が多くなってきているという声をよく聞く。家族で外食をする、そんな些細なことがどれだけ幸せことなのか、父親に感謝しつつ過ごしてみる今年の「父の日」は格別かもしれない。