サステナブル住宅の必要性が唱えられてからというもの、住宅メーカーは今までにも増して様々な挑戦を続けてきた。そして、東日本大震災後、消費者の住まいに対する意識が劇的に変化しているなか、各社の取組みはさらに積極的な展開を見せているようだ
「サステナブル」とは持続可能という意味で、建築物の世界ではとりわけ重要なキーワードとして捉えられており、中でも人の生活と密着している”家”に関しては、最も消費者の関心を集めるテーマのひとつとなっている。それは、長寿命健材の採用や太陽光などの自然エネルギー利用設備による創エネなど、「サステナブル住宅」には多岐に渡って環境維持・保全のための様々な工夫が施されている事からも分かるだろう。
具体的な住宅メーカーの取組みの一例を紹介すると、住友林業は木材資源を永続的に利用するために、サステナブルな森林経営を行い、国内だけではなく海外での植林などに積極的に取り組んでいる。リクシル住宅研究所のアイフルホームでは2009年に発表した『スーパーサステナブル住宅』をさらに追求した『スーパーサステナブル住宅NEXT+』を発表し、地球・家族・脳など8つのコンセプトを掲げ、研究開発を続けている。
大手の住宅メーカーをはじめ、様々な住宅関連企業がアプローチを行い「サステナブル住宅」を重要視するなか、いち早く「サステナブル」をテーマに居住実証実験を行ったのが積水ハウスだ。同社は2005年に「サステナブル」を企業活動の基軸に据えると宣言、翌年には東京・国立に「サステナブル デザイン ラボラトリー」を完成させ、現在も様々な研究・実験を行っている。閑静な住宅街にひっそりと存在し、何の違和感もなく周りの街並みと調和しているこの研究所は、”自然との調和”"エネルギーの効率的利用”"地球環境に対応した材料調達”という3つの基本テーマを掲げ、活動を続けている。実際の建物には陽の光と自然の風をうまく取り込む”縁側空間”を採用し、古き良き日本家屋で見られた自然を感じながら、それと調和する暮らしを楽しみ、そして国産木材や地球にやさしい材料を適材適所に使用する。さらに、先進のスマートハウスを具現化する「家ナビゲーション」によるエネルギーの見える化や照明設備などの集中制御を行い、正に持続的で暮らしを楽しむ住まいを形にしている。
そして、この研究施設では様々なテーマのセミナーを行っており、6月4日・5日には「省エネ防災セミナー」を行い、環境と共生した毎日の快適な暮らしと災害時にも安心な暮らし、そしてその両方を叶える住まいづくりについて消費者への啓発活動を実施した。
「サステナブル」という考え方は地球環境に対応しながら、次の世代へ住まいをバトンタッチするという、これからの時代には必要不可欠なものであることは間違いない。日本においては、東日本大震災後ということもあり、加えて防災というテーマを強く消費者から求められており、さらなる研究も必要であろう。ベースとなる住まい手の”快適性”"利便性”の良さを損なうことなく、持続可能な強い住宅を提供していかなければならない住宅メーカーの使命はこれからますます重要になる。