建設業の国際飛躍へ 国も受注段階から支援を

2011年05月18日 11:00

 国土交通省は日本の建設企業が国際的に飛躍できるよう戦略検討委員会(海外市場戦略検討委員会、座長・大本俊彦京都大学客員教授)を立ち上げ、検討した結果の提言を17日、公表した。

 それによると、日本の建設企業について海外事業の採算性に対する意識が低い、海外建設市場に関する情報の収集、分析能力の不足、業務経験や人材の不足などを指摘したうえで、自社の強みと弱みの整理を行うこと、進出先国の現状と将来性の把握に努めること、経営資源を集中すること、品質と価格の関連性に重点をおいた市場分析を行うこと、運営・維持・管理を含むパッケージ型の事業展開などを提言。

 そのためにコミュニケーション能力に長けた人材の確保・育成や優良な現地企業の買収、他産業との連携など企業としての組織の強化、貿易保険などリスク管理体制の整備に取り組むべきとしている。

 また、国に対し、建設交流会議の開催やODAの活用、トップセールス(官民一体の積極的な受注活動)など受注段階からの支援をはじめ、在外公館やJETROなどのネットワークを活用した情報収集と情報提供、人材育成への支援などを提言している。

 社団法人海外建設協会の資料によると、日本の建設業界は20年以上、海外での受注額が1兆円を超えていたものの、2008年度に6年ぶりに減少し、2009年度は6969億円と7000億円を割り込むなど、国際競争力の強化が求められている。
(編集担当:福角忠夫)