「若者の海外旅行離れ」が批判されるのはなぜか

2013年03月18日 08:07

 3月は卒業旅行シーズン。旅行各社は格安チケットや学生向け旅行特集を組んでいるが、最近の若者は「海外旅行離れ」が進んでいるともいわれる。ところがトリップアドバイザー株式会社の調査によると、「若者の海外旅行離れ」という批判は実態を表していないという。

 若者(20~24歳)が海外旅行するようになったのは、経済的に豊かになったバブル期から。1985年のプラザ合意によって一気に円高が進み、それまで多くの若者にとって憧れだった海外が身近なものとなった。ピーク時の1996年には、200万人以上もの若者が海外へ出かけていたのである。

 ところが2010年には海外旅行へ出かける若者の数は半減し、110万人に。海外旅行者全体に占める若者の割合を見ても、ピーク時の12.6%に対して2010年は6.8%。数字だけ見れば、若者は海外旅行離れしているように見える。

 しかし、ここに数字のからくりがある。若者の中で海外旅行へ出かけた割合をみると、ピーク時の100人中20人に対し、2010年も100人中、18人。ここ20年ほど、海外旅行へ出かける若者の割合はさほど変わっていないのだ。

 にもかかわらず「若者が海外へ行かなくなった」といわれるのは、そもそも若者の数が減っているから。新成人の数は1994年の207万人から、2013年には122万人と約4割も減少した。母数が減れば、海外へ行く若者の数が減るのは当然だ。

 少し考えれば、海外旅行へ出かける若者の数が減ったのは、若者の人口が減少したからだということは容易に想像がつく。海外へ出かける若者の割合は、昔とさほど変わっていない。

 なのに「若者が海外旅行をしなくなった」といわれてしまうのはなぜか。メディアが作ってきた「内向き志向の若者たち」というイメージが、若者の海外旅行離れイメージを加速させている可能性はないだろうか。本当に今の若者は内向きだから海外へ行きたがらないのか、別の確度から見てみることも必要である。