生命保険といえば、今まで保険のセールスマンが家庭に訪れて、対面方式で勧誘するといったパターンが主流だった。知り合いや親戚などのつてで紹介された経験を持つ人も少なくないだろう。ところが最近、この構図が少しずつ変わりつつある。もちろん、今でも対面でのセールスは主流として行なわれているが、年々、それにとって変わるようにインターネットによる保険の「通販」が増えているのだ。
生命保険文化センターが発表した「平成24年 生命保険に関する全国実態調査<速報>」によると、生命保険会社の営業マンの勧めで保険に加入した割合は全体の約7割を占めて圧倒的に多い。他には、生命保険会社の窓口や郵便局の窓口、銀行や証券会社を通じて、保険代理店の窓口や営業職員の勧誘となっており、これら対面での加入契約が約9割となっている。これだけを見ると通販での加入方法を選択しているのは、まだまだごく一部といえるが、インターネットの普及とともに、ネットを介しての加入割合が急激に増えてきているのは確かだ。
では、対面と通販のメリット・デメリットは何だろう。まず、「対面」で保険に入ることの一番のメリットは、面倒なことをある程度任せられるということだ。手続きを助けてもらえたり、わからないことがあれば丁寧に教えてもらえたりするので安心だ。専門家でないと分かりにくいようなことでも、面倒くさがらずに説明してくれる。ただ、デメリットとしては、保険のセールスマンに何度も会う時間をとらなくてはいけないことだろう。手続き自体は簡単でも、何度もアポを取ったり、時間的には拘束されてしまう。仕事の忙しい人や共働きの場合、その時間が意外に煩わしかったりもする。また、もっとゆっくり検討したかったり、見送りたくなっても、何度も足を運んでもらっているうちに断りにくくなってしまうという、精神的なプレッシャーも大きいのではないだろうか。向こうはそれが仕事なのだから、本当は一向に構わないのだが、実際のところ「セールスマンの人柄で加入を決めた」という理由も少なくない。また、当然のことながら、その人たちの人件費や経費が保険料に上乗せされていることも忘れてはいけない。通販と比べると割高になるのは仕方がないのだ。
一方、通販のメリットは、その人件費がかかっていないので保険料が割安なプランが多いことが挙げられる。顧客が自分で選択しやすいように、基本的にはシンプルでわかりやすい保険商品が多く扱われている点も魅力といえる。資料請求や申し込み手続きを全て自分でしなければいけないというデメリットはあるものの、情に流されることなく、自分の納得がいくまで調べたり、他者と比較したり、悩んだりできるところが魅力でもある。また、自分で調べて加入した場合、対面よりも知識や経験が身につくので、いずれ保険の見直しを考えたときも、「人に言われるまま」「勧められるまま」になることはないだろう。
実は、保険の見直しで、これまで無駄の多かったことが判明した人の大半が、保険のセールスマンに任せっきりという共通点を持っているという。これからは、インターネットなどを介して、自分に合った生命保険のプランを自分自身で選び、加入するというスタイルがさらに定着していくことになりそうだ。(編集担当:石井絢子)