中国の旧正月と円安の効果大きく、2月の百貨店売上高プラスに

2013年03月21日 08:05

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日本百貨店協会が発表した2月の百貨店売上高は、4,317億円で2か月連続の前年同月比プラスとなった

 日本百貨店協会が発表した2月の百貨店売上高は、4,317億円で2か月連続の前年同月比プラスとなった。今年はうるう年の翌年で営業日が1日少なく、また下旬は強い寒気の影響で客数が減少したが、株価上昇で海外ブランドのバッグや高級時計などがよく売れた。特に増床、改装効果のあった東京や大阪が好調な売れ行きをみせている。

 商品別で見ると、気温が低かったために春物衣料は伸び悩んだ(マイナス1.6%)ものの、株価上昇の効果や景気回復への期待感を背景に、ブランド小物などの身のまわり品が8.6%のプラス。さらに美術・宝飾・貴金属などの高額品も8.6%のプラスとなるなど、富裕層を中心に消費マインドが回復しつつあるようだ。昨年に引き続きバレンタイン商戦も盛況だった。「友チョコ」や「自分チョコ」などが全体の需要増に貢献し、菓子は2.1%のプラス。

 この時期(昨年は1月末)は中国の旧正月である春節と重なり、中国人観光客をいかに取り込むかが売上高を左右するといわれる。しかし当初は尖閣諸島国有化問題をきっかけとした日中関係の冷え込みで、昨年ほど春節商戦は盛り上がらないといわれていた。日本の中国語新聞・中文導報は2月24日、2013年の春節に訪日する中国人観光客がしていると報じている。かつては高級時計を中国人旅行客が買い求める風景も珍しくなかったが、今年はそのような光景は見られなかったという。

 ところが蓋を開けてみると、中国からの観光客数は好調。東南アジアからの観光客も顕著に伸びた。春節の時期が1月からずれた反動もあり、来店客数が前年同期を上回った百貨店もあるという。観光庁の「訪日外国人消費動向調査」によると、日本を訪れた中国人旅行客は平均して8割がショッピングを楽しんでいる。売上は115.2%、客数は84.2%のプラスだった。1~2月の合計売上高も39.7%の大幅増で、回復が鮮明になっている。

 日中関係の悪化が懸念されていたにもかかわらず、春節と円安効果で中国人旅行客の数は減らなかった。さらに東南アジア旅行客の増加も手伝って、売上高が増加したのではないだろうか。