東日本大地震で各企業、被害増大

2011年03月14日 11:00

 キリンビールは13日、東日本大震災の発生で、ビールの貯蔵庫が倒壊した仙台市の仙台工場など、地震による被害額が少なくとも数十億円にのぼることを明らかにした。

 地震の被害では、茨城県取手市の取手工場のビール貯蔵タンク3基が傾いたほか、工場の天井の一部が損壊していることが判明。貯蔵タンク4基が倒壊した仙台工場は当面、稼働再開が困難な状態だという。取手工場については、設備の修繕や点検作業を急ぎ、早期の復旧を目指す。同社は「被害状況によっては今後、被害額がさらに増える可能性もある」と話している。また、安否が未確認だった10数人の従業員については、全員の無事を確認したという。

 一方、地震の被害を受けていない北海道千歳市の千歳工場、横浜市の横浜工場の2工場と東日本地域の物流センターでは、14日の出荷を停止する。仙台、取手両工場から出荷している東北全域と関東の一部地域で、商品の供給が滞るおそれがあることから、いったんすべての工場の出荷を全面停止し、物流ルートを見直すためという。

 新日本製鉄は同日、東日本大震災による大津波の直撃を受けた岩手県釜石市にある釜石製鉄所の被害状況を発表した。構内の一部が冠水し操業を停止しているほか、原料の荷揚げや製品出荷に使う自社の港湾設備も損壊し復旧の見通しは立っていないという。同社は「いつ操業再開できるかは未定」としている。

 釜石製鉄所では自動車向けや建設向けの棒線を手がけているが、新日鉄では類似の製品をつくっている北海道室蘭市の室蘭製鉄所や千葉県君津市の君津製鉄所などで代替生産することも検討している。また、釜石製鉄所の従業員や家族の安否については「最大限の努力を払って鋭意調査している」とコメントしている。一方、中核拠点の君津製鉄所で、地震発生後に通常操業を一時停止する「休風」の状態にあった高炉3基すべてを再稼働させたことも明らかにした。圧延以降の工程も順次稼働させている。このほか室蘭製鉄所も構内の設備に目立った被害が出ていないという。

 また、JFEスチールも同日、地震の影響で操業を停止していた川崎、横浜市の東日本製鉄所京浜地区について、高炉への送風を開始し、通常稼働に向けた準備を始めたことを明らかにした。同千葉地区でも同日中に高炉への送風を開始する予定。両地区とも地震発生後、休風措置をとり、操業を停止していた。

 大和ハウス工業では、11日の震災発生直後から操業を中止していた栃木県真岡市の二宮工場と茨城県龍ケ崎市の竜ヶ崎工場で13日午前から工場の設備を点検しているが、大きな損傷がないもようで「14日に操業が再開できる見通し」(広報部)としている。宮城県大崎市の東北工場は停電が続いており、「週明けの操業が難しい状況」としている。