日産とマツダのOEM戦略に見る、今後のクルマ市場とは

2011年02月24日 11:00

 先日、発表されたマツダ 「プレマシー」の日産 へのOEM供給。軽自動車販売に関連したOEMが、ある程度落ち着きを見せたのも束の間、再び自動車業界がOEMへの動きを見せ始めた。

 ダイハツ がトヨタ にOEM供給を行うことが報道され、遂に大手自動車メーカーが軽自動車市場に全て加わり、自動車業界の活発な動きを期待する声が高まってきたのが昨年9月。それから半年も経たない今年の1月下旬、日産とマツダの「プレマシー」に関するOEM供給のニュースが飛び込んできた。トヨタの軽自動車市場参入は日産と三菱自動車 ・スズキ 、富士重工 とダイハツ、マツダとスズキというように、軽自動車のOEMが活発である業界の構図の中でのくくりだが、今回の日産とマツダの場合は別のケースであり、しかも日産が自社開発してもおかしくないカテゴリーのクルマだったことで、大いに注目を集めている。

 軽自動車関連のOEM以外では、ダイハツとトヨタは過去から行ってはいるが、資本関係のある両社のケースは相互の供給であり、「パッソ」と「ブーン」などはこのケースだ。また、最近ではトヨタと資本関係のある富士重工がさらに加わり、「bB(トヨタ)」・「クー(ダイハツ)」・「デックス(スバル)」のそれぞれの名称で3社が販売するというケースだ。

 だが、今回のケースは同様の車種で「ラフェスタ」を持つ日産が、敢えてマツダの「プレマシー」に食指を動かした所に、今後のOEMのトレンドが見え隠れする。2Lクラスのミニバンブームを牽引してきたのは、ホンダの「ステップワゴン」であり、またトヨタの「ノア」・「ヴォクシー」や日産の「セレナ」であったが、モデルチェンジの際、アップ・サイジングを行い、ミニバンというカテゴリーの中でさらに細分化していった。「プレマシー」もアップ・サイジングしたが、車高が低く、コンパクト・ミニバンのカテゴリーで他車との比較をされることが多い。ライバル車として見られるのはトヨタの「アイシス」・「ウィッシュ」やホンダの「ストリーム」などだが、日産の「ラフェスタ」はこのクラスで苦戦しており、2010年にフルモデルチェンジした「プレマシー」はアイドリングストップ機能が付いたりするなど、2004年にデビューした「ラフェスタ」よりも時代に合ったエコな装備を多く持っている。動いている市場ではあるが、高騰する開発コストを捻出するよりは、日産が「リーフ」で他社より先行しているEV市場に向けて、経営資源を使う方が採算的に合うと判断した結果だ。一方、マツダはこのOEMによって強い販売力を手にすることができ、さらに将来に向かって、EVのOEM供給を受ける立場としての下地もできたはずだ。

 自動車メーカーはガソリンエンジンだけではなく、HVやEVそして、さらにFCV(燃料電池車)と様々な動力源のクルマが同じ時代に存在するという、難しい環境に今後、ますますさらされていく。いくら大手メーカーであっても、全てのカテゴリーのクルマを自社で開発するのは難しい。まして、資本力に乏しい中小のメーカーはなおさらだ。自分達の経営資源をどこに優先的に使うかを見極めることこそが、今後の市場での戦いに生き残れる条件だとすれば、今回の日産とマツダのOEM契約のケースはきっかけとなるに違いない。
(編集担当:加藤隆文)