2011年も生き残りをかけた百貨店競争が激化

2010年12月24日 11:00

 1991年に売上高が9兆7000億円あった百貨店業界の市場規模は、2009年には約6兆6000億円となり、ピーク時より32%縮小した。2010年も変わらず低迷傾向が続いた百貨店業界だが、久々に明るい話題として、三越伊勢丹ホールディングス傘下の三越銀座店が9月に増床し、店舗面積を1.5倍としてオープンしている。一部の百貨店がこれまでの高級志向の百貨店モデルからショッピングセンター化していく中、同店はあえて従来の百貨店らしさを前面に押し出し、自社バイヤーが売り場を作る「自主編成売り場」の店舗構成となっているのが特長だ。

 ショッピング化していく百貨店の代表が大丸と松阪屋を運営するJ.フロント リテイリングだろう。従業員が複数の業務をこなすという、従来の百貨店ではあり得なかった効率運営を推進。売り場のテナント化も図っている。2009年には大丸心斎橋店に、2010年には大丸京都店に「うふふガールズ」を導入。パルコやルミネといったファッションビルやショッピングセンターを参考に、若者層を取り込もうとしている。また、松坂屋銀座店には若い女性に大人気のフォーエバー21、また家電量販店のラオックスを導入。年齢層を問わない大衆化の道を歩み始めている。

 関西では2011年に難波高島屋店が増床リニューアルオープン。大阪駅周辺では大阪三越伊勢丹が新規開業し、大丸梅田店が増床、阪急うめだ本店の建て替えも着々と進んでいる。

 2011年、高級志向、大衆化と二極化している百貨店業界の今後の動向に注力したい。