”電子書籍元年”と呼ばれる2010年は、8月の米アップル社「iPad(アイパッド)」、11月の韓国サムスン電子「ギャラクシーTab(タブ)」、12月のシャープ「GALAPAGOS(ガラパゴス)」、ソニー「Reader(リーダー)」と、専用端末を含む電子書籍を閲覧可能な端末が相次いで発売された。今年も残りわずかとなったが、ここへきて新たな展開も見えてきた。
まずは、毎日新聞社が10日より、シャープ「GALAPAGOS」向けに日刊の特別編集版「Mainichi iTimes(マイニチ アイタイムズ)」の配信を開始した。「Mainichi iTimes」は、新聞記事に対する深掘りした解説やエンタメ、スポーツ情報などを独自にパッケージし、新聞休刊日も含め毎日、午前5時ごろに配信を行うもの。端末のディスプレイに合わせてレイアウトを行い、文章と豊富な画像で情報を提供する。さらに同端末に対し、同社発行の雑誌「サンデー毎日」と「週刊エコノミスト」の配信も有料で行う。
そして12月25日には、KDDIと沖縄セルラーが電子書籍閲覧のための専用端末として、電子ブックリーダー「biblio Leaf SP02(ビブリオリーフエスピーゼロニ)」の販売を、関西・沖縄両地域限定で開始する。同端末は、「CDMA 1X WIN」や無線LANを利用して電子書籍をダウンロードし、約2ギガの本体メモリーに約3,000冊相当の書籍を保存できる。大きさはB6サイズ程度、薄さ9.8mmとコンパクトなのが特長で、手軽に持ち運びできるのが魅力だ。ディスプレイには目に優しい電子ペーパーを採用し、長時間の読書でも目が疲れにくい。
同端末の利用にあたっては、同日、電子書籍の配信サービス「LISMO Book Store」の提供が開始され、小説や実用書、ビジネス書を中心とした電子書籍を販売するとともに、無料の電子書籍やユーザーレビューなども閲覧可能になる。同サービスで提供されるコンテンツは、ブックリスタ等との連携で、サービス開始時に約2万点、2011年度中には約10万点のラインナップを目指す。さらに、今後、auのスマートフォン「IS」シリーズ向けにもサービスの提供先を拡大していく予定だ。同サービスに対しては、月額525円の基本使用料だけで利用できる専用料金プラン「biblio Leafプラン」が設定されている。
それぞれの電子書籍の利用に関しては端末と配信サービスがセットで提供されており、端末と配信サービスを切り離して利用することができないなど、課題が山積しているのが現状だが、端末や配信サービス出揃った今、本格的に成熟していくと予想される2011年の電子書籍市場への期待が膨らむ。