テレビによって繁盛し、テレビによって失速

2012年11月12日 11:00

 家電量販店大手4社(ヤマダ電機 <9831> 、エディオン <2730> 、ケーズホールディングス <8282> 、上新電機 <8173> )の2012年度中間決算は、2011年7月の地上デジタル放送移行前にテレビの特需が盛り上がった反動に直撃された形になった。

 テレビ販売と売上高の前期比減少幅は、ヤマダがテレビ-70.0%で売上-18.3%、エディオンがテレビ-71.5%で売上-15.3%、ケーズがテレビ-72.0%で売上-17.4%、上新がテレビ-69.9%で売上-16.4%だった。ちなみにビックカメラの8月本決算もテレビは-72.4%で、売上高は-15.4%だった。前期の約3割しか売れなかったテレビに代わる収益源の商品が出てこなかったために、各社とも2ケタの減収になっている。

 最終損益も不振で、ヤマダは65.9%減益、エディオンは11億円の最終赤字、ケーズは61.0%減益、上新は38.6%減益、ちなみにビックカメラの本決算も55.7%減益で、家電量販店大手5社は全て減収減益だった。

 その状況は下期も変わらないとみられ、通期の売上高見通しは、前々期まで2兆円台だったヤマダが1090億円下方修正して1兆7180億円として、前期比-6.4%。エディオンが7200億円で-5.1%、ケーズが6600億円で-9.1%、上新電機が3900億円で-4.9%で、4社とも下方修正した。最終利益はヤマダが340億円で前期比-41.6%、エディオンが30億円で-18.9%、ケーズが144億円で-39.4%、上新電機が47億円で-24.7%とどこも悪い。なお、ビックカメラの通期見通しは売上高が8400億円で+62.1%、最終利益が73億円で+82.1%だが、これは買収したコジマの分が加わるためである。

 電機メーカーも、パナソニックは6851億円、シャープは3875億円、ソニーは401億円の中間期最終赤字を計上して苦境にあえいでいるが、その3社はテレビの販売不振、テレビ本体やプラズマ、液晶の生産設備過剰がからんでいる。メーカーも販売店も、家電エコポイントと地デジ化の”バブル”で飛ぶように売れたテレビと心中して縮小均衡状態に陥り、事態はきわめて深刻だ。

 それを、どう打開するか。ヤマダは住宅メーカーのエス・バイ・エルを買収して進出した「スマートハウス事業」を推進する一方、すでに東南アジアに進出しているベスト電器の買収で海外出店の重点を中国から東南アジアに移す方針。エディオンは赤字店の閉鎖、人員削減などリストラによる経営体質強化が急務だが、太陽光発電や住宅リフォームの強化も進めていく。ケーズは本業の白物家電の販売に力を注ぎ、上新は地盤の関西圏を固める。都市型店舗が中心のビックカメラは買収したコジマの郊外型店舗を加え、「点から面へ」という立地戦略を進めていく。それでも家電市場のシュリンクが進むようなら、仕入先に対するスケールメリットを拡大して利益を確保するために、もう一段の業界再編も必要になってくるだろう。