OA機器業界は日本メーカーの競争力が強く、世界シェアを見てもOEMを含めて大部分を占めている。
現在、家庭用複写機ではキヤノン <7751>とセイコーエプソン <6724>が、業務用複写機では、キヤノン、リコー <7752>、富士ゼロックス、セイコーエプソンがシェア争いを展開。また、世界でもトップクラスのブランド力を誇るだけあり米国やアジア、BRICsなどへの輸出が堅調で、世界的な需要とともに拡大を続けてきた。しかし昨今は不況による事務コストの削減により2008年からは減少に転じ、2009年には複写機が前年比約30%減、プリンターが前年比約15%減と落ち込んでいる。
そのような中、新興国地域では金融危機から急速な回復を見せており、OA機器の新設需要が期待。各社販路拡大の方法として、現地販売会社を買収・協業するなどの動きもでている。2008年にはリコーが世界最大の独立系販売会社である米国の大手事務機器販売会社アイコンオフィスソリューションズを買収し、複写機で世界シェアのトップ企業に躍り出た。また、同年には富士ゼロックスがドイツのソフトウェア会社の日本支社であるSAPジャパンとの協業強化に乗り出している。
さらに富士ゼロックスは、 DocuPrintシリーズの新ラインナップとしてA4判LEDプリンターを海外市場で2010年11月9日より順次導入。クラストップレベルの小型化と軽量化をはかり、中小規模事業所(SMB)市場向けに単機能プリンターから複合機まで、幅広い機種を低価格で提供する。
キヤノンマーケティングジャパン <8060>は、2009年11月に欧米市場を中心に、業務用高速プリンターと業務用大判プリンターの開発・製造・販売を展開するオランダのオセ社をグループに迎え入れることを発表。これまでのライトレンジからミドルレンジを中心としたプロダクション事業にハイエンド機を投入し、事業強化を推進する。また、2011年1月にはオセ専任の10名のスペシャル集団の部署を新設。販売体制も強化し企業へのダイレクトセールスを展開するほか、データプリントサービスなどで高いシェアを誇る昭和情報機器と提携し、販売基盤の拡大を図る構えだ。
今後は景気回復に伴った先進国の更新需要と新興国の新設需要が期待されるOA機器業界。国内のみならず世界を見据えた様々な方向性で各社活路を見出す。
(編集担当:宮園奈美)