下降気味の茶系飲料、上昇キーはブレンド茶

2010年11月22日 11:00

k101020_040_2

ダイドードリンコは、「聘珍樓」とのコラボレート展開が3周年を迎えるにあたりプレゼント企画を実施。「景品は "上質感"と"ワンランク上の世界観"が感じていただけるものを、聘珍樓さんと話し合い考えました」と同社の企画開発部の平原さんは語る。

 ここ数年の飲料市場は消費者の不況による買い控えで苦戦を強いられている。2009年の飲料総市場マーケティングデータによると、”ゼロ”タイプの炭酸飲料が唯一売り上げを上昇させているものの、これまで成長分野であったミネラルウォーターがマイナス傾向に。また、最もシェアの大きいコーヒー飲料も伸び悩んでいるのが現状だ。なかでも茶系飲料の勢いは急速に衰え、縮小の一途を辿っている。その状況下で飲料メーカー各社、様々な茶系飲料のバリエーションを模索しながら展開している。

 茶系飲料はひと昔前までは麦茶や緑茶、ウーロン茶が主流であったが、ブレンド茶系飲料としてアサヒ飲料<2598>の「十六茶」が93年に発売。同年には「茶流彩彩」ブランドでスタートした日本コカコーラの「爽健美茶」は99年に単独ブランドとして独立し大ヒット。ブレンド茶飲料におけるシェアの約7割をおさえている時期もあったという。

 2007年前後は、原点回帰の現象なのか、緑茶市場が拡大をみせた時期もあったが今や頭打ちの状況。現在は健康茶や機能茶など、様々な種類が発売されている中、各メーカーが最も注力しているのがブレンド茶系飲料だろう。現在、日本コカコーラの「からだ巡茶」、キリンビバレッジ<2595>の「潤る茶(うるるちゃ)」などが発売以来好調をキープしているようだ。

 また、ブレンド茶にプラス、コラボレーション系の商品で差別化を図るのがダイドードリンコ<2590>だ。2008年より120年以上の歴史を持つ中国料理の名店「聘珍樓」とコラボレーションした「聘珍茶寮シリーズ」を販売。ワンランク上のお茶の世界観を気軽に楽しめるブランドとして展開している。現在、「聘珍茶寮 ジャスミン茶」を筆頭に、「聘珍茶寮 温ジャスミン茶」、そしてブレンド茶としては11月15日より「聘珍茶寮 冬ブレンド茶」を新商品として発売した。特に今年は一年を通じて、「聘珍茶寮 春ブレンド茶」、「聘珍茶寮 夏ブレンド茶」、「聘珍茶寮 秋ブレンド茶」、そして今回の「聘珍茶寮 冬ブレンド茶」と季節感を消費者に提案する商品を展開し、注目を集めている。

 現在、「聘珍樓」とのコラボレート展開が3周年を迎えるにあたり、「聘珍樓」にちなんだスペシャルプレゼント企画も実施。期間中、対象商品である聘珍茶寮を購入し、貼付されているシール内側のIDナンバーを携帯サイト上で入力。貯まったポイントでゲームにチャレンジすると、抽選で「聘珍樓」で食事や買い物ができる商品券や特製飲茶セットが当たるという。「購入いただいている皆さまに感謝の気持ちを込め、また景品は商品コンセプトにちなんで、”上質感”と”ワンランク上の世界観”が感じていただけるものを、聘珍樓さんと話し合い考えました」とダイドードリンコ企画開発部の平原さんは語る。

 飲料業界各社、様々な独自性で茶系飲料に関するマーケティングを行い、開発、製品化を繰り返している。しかし、どれだけ熟考した製品の戦略を考えても、最終的に買ってもらえないと意味がない。購買行動としてまずは手に取ってもらうこと、その一環としてプレゼント企画による展開もやはり重要な認知拡大の戦略であると考えられる。
(編集担当:宮園奈美)