最近、育毛・毛髪のCMをよくみかけるワケは・・・

2010年11月04日 11:00

 薄毛、脱毛をはじめ毛髪関係の悩みは男女ともに深刻で、数10年前より育毛剤やサプリメントなど様々な関連商品が発売されてきた。しかし実際のところの効果は不透明で、どちらかというとその類は、一種のまやかし商品のような存在として、悪い評判ばかりが目立つようになっていた。

 しかし近年は、発毛・育毛剤の開発や処置方法の進歩により、多彩な薬やシステムが確立。薄毛、脱毛などの原因や症状は人により異なるため、個々の体質をきちんと把握してからだが、専門機関での頭皮ケア、発毛剤や育毛剤を使用することで効果が出るという声も多くなってきている。

 市場調査の富士経済が本年度当初に発表した「スイッチOTC薬」の国内市場の調査結果によると、一般用医薬品の中でも特に市場の伸びを見込んでいるのは発毛・育毛剤で、2009年の見込み額は150億円。前年比で7.9%増と高い伸びを見込んでおり、2010年も158億円規模の市場に引き続き成長すると予測している。だが、頭皮ケア関連商品の飛躍的な進歩と同様に、ヘアケア業界自体の評判も上々、とは言い難いのも現実だろう。

 現在、ヘアケア業界はイメージップを行う戦略として、様々な広告展開を行っている。なかでもテレビコマーシャルには大いに力を入れているようだ。例えば、吉本の人気芸人を多数使い、ユニークな内容で親しみやすさを訴求している「スカルプD」。薄くなった髪の毛で悩む芸人たちが集まって、月に一度、医師のチェックを受けながらスカルプDで薄毛を解消するという「毛ボーボープロジェクト」は大きな話題となった。また、イメージキャラクターに和田あき子を起用しているリーブ21は、姉ご肌な和田の存在感を利用し、発毛体験者に体験談を語ってもらうという座談会の模様をコマーシャルとして流している。これは体験者のリーブ21に来るまでの葛藤、コース中に感じた様々なことなど、率直な生の声をユーザーに伝えたいという思惑があったようだ。さらに、以前放送されていた万有製薬のAGAを啓発するコマーシャルでは爆笑問題が起用され、コミカルな演技が話題を呼んでいた。

 ヘアケア業界が知名度や人気のあるタレントを起用する理由として、薄毛や脱毛という比較的ネガティブになりがちな症状を「明るく、楽しく、ケアしていこう」という前向きさを感じてほしいという思いが見受けられる。

 コマーシャルの好感度が100%、企業のイメージアップにつながるとは言い切れないが、大きな影響力があるのは確かだろう。今後、ヘアケア業界がどのような方向性のコマーシャルを着手していくのかが楽しみである。
(編集担当:宮園奈美)