キヤノン <7751>と東レ <3402>は、バイオマスプラスチックを使用した複写機・複合機業界最大の外装部品の開発に成功した。
同部品はキヤノンのプロダクション向け複合機用のもので、大きさは幅が約640ミリメートル、高さが440ミリメートル、重さは約1,100グラムとなっている。難燃性も世界最高水準のUL規格94の5Vを達成。同様の難燃性を持つ最大のバイオマスプラスチック部品に比べて、大きさは約11倍、重さは約6.5倍となっている。
使用されている植物原料由来のバイオマスプラスチックは、従来の石油系プラスチックに比べて、製造に関わるCO2排出量を約20%削減するなど、環境負荷の低減に有用な材料だ。しかしこれまでは、大型部品に求められる成形加工性や製品外観、機械強度、強靭性を高い次元で同時に達成する技術的難度は高く、特に、高度な難燃性が要求される外装部品への採用は困難とされてきた。
今回キヤノンと東レは、東レのポリマー構造をナノメートルオーダーで制御する材料設計技術と、キヤノンの大型部品を成型できる高度な金型技術により、これらの材料特性を改良。バイオマスプラスチックを使用した業界最大の外装部品の開発に成功したという。これにより将来的には、オフィス複合機などに使用されている小型の外装部品だけでなく、プロダクション向け複合機などに使用されている大型の外装部品についても、バイオマスプラスチックに置き換えることが可能となった。
今後もキヤノンと東レは、バイオマスプラスチックの改良を重ね、適用範囲や用途の拡大を目指し、さらなる技術開発を推進していく。
(編集担当:宮園奈美)