DNP、プライバシー保護用音楽データ生成ソフト発売

2010年09月28日 11:00

 大日本印刷<7912>は、秘匿性の高い会話を周囲の人に聞こえないようにする、スピーチプライバシー用の音楽データ生成ソフトを開発し、10月にポスターと組み合わせたスピーチプライバシーシステム「ポスラサウンドパネルforスピーチプライバシー」として販売すると発表した。

 医療機関や調剤薬局などの受付、金融機関の相談カウンター、各種面談室などで交わされる会話の多くは、第三者に知られたくない個人情報や機密情報を含む場合があり、会話の漏洩を防ぐスピーチプライバシーが注目されている。これまで、会話の漏洩防止には、遮音性能を持つ間仕切りを設置するなどの方法があったが、現実的には設置のスペースやコストの制約などにより、容易に実現できない場合が多い。このほか、会話の音声とまったく同一の周波数の音(音波)で位相を反転させた音波を故意に発生させて電気的に消音する能動消音法や、大きな音のBGMを流す方法などがあるが、能動消音法は、マイクで集音した音波を解析して、リアルタイムで打ち消し用の音波を生成するシステムが必要で費用が高額。しかも対象が定常的な騒音に限定されるため、会話の音声のように時間的に一定でない音には対応できないという。また、会話よりも大きな音量でBGMを流したとしても、人は多少の騒音に邪魔されても音声を補完して聴取する、いわゆる”聞き耳を立てる”能力を持っているため、会話の音声を完全に秘匿化することは困難だったという。

 そこで同社は、BGMなどの音楽に含まれる音成分と類似する周波数をもつ音声は、片方が聞こえにくくなる現象(聴覚マスキング)に注目。聴覚マスキング効果がより強く働くようにBGMとして流す音源に特殊なフィルタ処理を施し、人が発する音声を聞こえにくくするための音楽データを生成したという。『ポスラサウンドパネルforプライバシー』は、同社が2009年に販売開始した、 ポスターの全面がスピーカーとなって高品質な音声を出す”しゃべるポスター”『ポスラサウンドパネル』に、今回開発した音楽データ生成ソフトを組み合わせたもの。音の指向範囲が広く減衰しにくいため、低音でもクリアーに、広範囲に音を伝達でき、耳ざわりにならない心地よい音を流すという。また、スピーカー部に耐久性の高いアラミド繊維を使用したハニカム構造のパネルを採用することで、薄さと軽さ、パネルを自由な形にカットできる加工性を実現。店頭POPなどへの展開が容易となっている。

 これらは既に株式会社オオノが展開する調剤薬局「ひかり薬局大学病院前調剤センターで実証実験を行いその効果を検証。薬剤師10名、利用者17名を対象にアンケート調査を行ったところ、設置前に比べ、会話が聞こえにくい環境になることが確認された。また、設置場所や向きを変えることで、秘匿化エリアを広範囲に設定できることも明らかとなった。

 同社は、「ポスラサウンドパネルforスピーチプライバシー」や店頭POPなど、関連商品において、2011年度までに1億円の売上を目指すという。
(編集担当:山下紗季)