ロート、”製薬会社発”のスキンケアブランドで中国市場へ

2010年09月24日 11:00

k100923_054_1

百貨店専門のプレステージブランド「episteme(エピステーム)」で中国に進出したロート製薬。"製薬会社発"の信頼と最先端のサービスが受け、話題となっている。(写真は上海伊勢丹のブース)

 景況悪化の影響で国内における売上の横ばい傾向が続き、各社とも次なる一手を模索する化粧品業界では現在、海外市場、中でも美容意識への高まりが見られる中国市場への進出が注目を集めている。そんな中、家庭用製薬大手のロート製薬<4527>も機能性化粧品ブランド「episteme(エピステーム)」で中国市場へ攻勢をかけており、2010年1月に上海、同4月に抗州、同9月に天津と、続けざまに百貨店内ブースを新設した。

 「episteme(エピステーム)」は、2009年9月に販売が始まった同社のプレステージブランドである。米国のベンチャー企業「ダイナミス・セラピューティクス社」と共同研究を行い、エイジング肌の原因に着目したスキンケア製品のほか、サプリメントやドリンクなど全部で19種類の商品を開発・販売している。日本では伊勢丹新宿店、高島屋大阪店、高島屋京都店といういずれも化粧品の売上が高い3店舗に出店。30代後半から40代の、化粧品に対する選択眼を持った女性から支持を集めている。今や100億円規模に成長した「肌研(ハダラボ)」など、ドラッグストアを中心に化粧品を展開する同社にとって、百貨店に専用カウンターを開設するのは初の試みである。

 化粧品メーカー各社から注目を集めている中国ではあるが、メイクをして街を歩く女性は少なく、化粧品への注目が日本ほど高いわけではない。しかし美肌への強いこだわりから”機能性”を重視したスキンケア商品への需要は高く、今後においてもさらに高まることが期待されている。理由の一つに「月光族」という存在がある。月光族とは、中国で「一人っ子政策」が導入された1979年以降に生まれた子どもたちの中で、現在職業に就いている20代前半から30歳前後までの世代のこと。この世代の人々は、子どもへの援助を惜しまない親によって育てられた経験から消費活動が活発で、その多くは貯金をせず、収入のすべてを使い切ってしまうといわれている。現在では”中国の消費を支えている”とも称される月光族の中には日本製の化粧品を購入することで自分に投資する女性も多く、日本と同じ価格で販売する「episteme(エピステーム)」のような、ある程度高額な商品でも臆することはないという。そういった背景もあり、中国国内における化粧品市場はここ数年、継続的な2桁成長を続けている。

 さらに同社は目薬においてトップシェアを維持していることもあり、中国での知名度も比較的高く、ほぼ100%の知名度を誇るメンソレータム社を子会社として保有しているという強みもある。さらに、現在販売を行っている中国店舗において、研究所で使用されるレベルの最新の肌診断器を導入し、商品の購入の際に潜在的な肌の特徴の診断を行うことや、商品の購入とセットで無料エステを行うなど、中国ではまだ珍しいサービスを提供していることも受けている。そして”製薬会社をバックグラウンドとした外資系化粧品ブランド”が百貨店内に専用ブースを設けることは中国初でもある。そういったことからも「episteme(エピステーム)」は大きな注目を集めており、雑誌などのメディアでも取り上げられている。

 今後は、ロート製薬が培ってきたノウハウを活用して「episteme(エピステーム)」ブランドを広く知らせていき、年内に中国での店舗数を7店舗に拡大することが目標だ。さらに、日本における店舗をフラッグシップ的な存在として活用しながら、日本、中国、そして将来的には中国以外のアジア諸国への展開も見据えている。
(編集担当:上地智)