厚生労働省は建設労働従事者による作業中の墜落、転落死傷事故や陸上貨物運送従事者の交通事故死傷など死亡災害が増加していることを受け、6日、業界団体や労働災害防止団体の長に対し、労働災害防止対策を徹底するよう緊急要請した。
同省によると、今年に入って1月から8月7日現在までの速報値で574人が労働災害で死亡しており、前年同期に比べ66人、13%増加。死傷者数も2万9056人と前年同期より604人(2.1%)増加するなど、特に建設業での墜落・転落、陸上貨物運送事業での交通事故、建設現場などでの熱中症、林業作業中の災害などが特に目立っている、としている。
このため、経営者自ら先頭に立って安全衛生管理体制の点検を行うとともに、墜落や転落の防止策、機械設備などにかかわる安全対策の徹底、労働者雇入れ時の安全衛生教育の徹底などを要請したもの。
特に、187人の死者がでている建設業においては、高さ2メートル以上の箇所での作業については足場を設置するなどの災害防止措置の徹底を要請。陸上貨物運送事業者(死者47人)に対しては、睡眠時間の確保に配慮するなど、無理のない走行計画の作成を行うとともに、睡眠不足などが著しい場合には運転業務に就かせないなどの措置の徹底を求めた。
このほか、9月1日時点の速報値で熱中症により建設業で13人、製造業で5人、運送業で2人、警備業で2人、農業で4人など合わせて33人が職場で熱中症により死亡しているとして、労働者の休憩場所の整備や作業時間の短縮、水分や塩分の摂取、通気性の良い服装の着用など、熱中症予防を一層徹底するよう求めた。
このほか、林業に対しては他業種からの新規参入を背景に経験年数の少ない高年齢者が被災者になるケースが発生しているなどから、安全衛生教育の徹底を図るよう要請。警備業では建設工事現場内で重機などに巻き込まれる災害が多発しているとして、警備業務の契約先と協議して、安全を考慮した業務計画を作成するとともに、その内容を従事労働者に徹底することを求めた。
(編集担当:福角忠夫)