機密費説明責任 官房長官が判断すべき 首相

2010年06月22日 11:00

 内閣官房報償費(機密費)について「(機密費の)国庫からの支出状況(請求日、支出額)は毎回の請求ごとに、記者会見、あるいはインターネット等で国民に情報公開すべき」また「内閣官房長官引き継ぎ時の内閣官房報償費の残高を公表すべき」と、塩川鉄也衆議院議員(日本共産党)が内閣官房報償費の情報公開を求めたのに対し、菅直人首相は「前内閣に引き続き、内閣官房報償費の取扱責任者である内閣官房長官が責任を持ってこれを執行し、その使途等を検証することとしており、透明性の確保を図る方策については、その中で今後検討する」として記者会見などでの情報公開に慎重な姿勢をみせた。

 また、内閣官房長官引き継ぎ時の残高公表についても「特定の時点における内閣官房報償費の使用状況に係る情報を明らかにすると、その当時の内政及び外政に係る各種情報と照らし合わせることにより、使途について特定されたり、事実と関係なく様々な憶測がなされたりする可能性があり、今後の内閣官房報償費を用いて行う情報収集等の活動が事実上困難となり、内閣の政策運営に支障を及ぼすおそれがある」として公表の考えのない旨を回答した。

 また、塩川議員は「野中広務元内閣官房長官が自ら内閣官房長官を務めていた時期に、内閣官房報償費を多い時で月7千万円、少なくとも5千万円使い、その内訳は月々内閣総理大臣に1千万円、自民党国対委員長や参議院幹事長に各5百万円程度を渡し、更には政治評論家や野党の国会議員に配っていたとの発言を行っている。これは、内閣官房長官経験者自らが内閣官房報償費を政界工作費、マスコミ工作費として使用していたことを明らかにした重大な証言で、野中氏ら歴代の内閣官房長官から聴取するなど、昨年度も含めて過去の内閣官房報償費の使用実態について調査解明すべきではないか」としたのに対し、菅首相は「現内閣として使用実態が明らかになることを期待することは困難で、内閣官房報償費についてどのように説明責任を果たすかについては、その時々の内閣官房長官が自ら判断することが適当と考える」として、この問題に切り込む考えのないことを示した。機密費はマスコミ記者にも渡されていたとの報道もある。報道関係者に渡っていたとすれば見過ごすことはできない。あわせて「税金である以上、一定の期間が経過した後には全てオープンにするべきではないか」。使途に対する透明性の確保策が急がれる。
(編集担当:福角忠夫)