若年層の利用増で回復基調にある冷凍食品市場

2013年04月17日 08:46

 矢野経済研究所が昨年11月に発表した調査結果によると、2011年度の家庭用(市販用)冷凍調理品市場規模(メーカー出荷金額ベース)は、前年度比 5.5%増の2425億円が見込まれている。2008年度に一時市場は縮小したものの、節約志向による内食化や調理の簡素化による惣菜利用の拡大、弁当需要などの再興により、2009年度以降は回復基調にあるという。

 こうした中、一般社団法人日本冷凍食品協会が、「冷凍食品の利用状況実態調査」を実施した。これによると、冷凍食品の利用頻度は、若い年齢層の女性や男性を中心に増加しており、男性は3人に2人が「自分で食べる夕食」として冷凍食品を購入。女性においては、利用頻度が「増えた」と回答した人は、65歳以上で16.0%あるのに対し、25~34歳では35.2%にも上っている。さらに男性においても、冷凍食品の利用頻度が「増えた」人は昨年より10ポイント増(14.0%→23.8%)という結果となった。

 冷凍食品の利用が増加した要因として、その「おいしさ」の向上が挙げられる。特に若い世代は、「おいしい」ことへの評価が高い傾向にあり、4年前の調査(2009年8月)と比較して、「おいしい」ことに魅力を感じている女性は24.6%から41.3%へと20ポイント近く上昇している。また、25~34歳(男性48.8%、女性59.2%)では、65歳以上(同24.8%、28.8%)の2倍の高さとなっている。

 その他、普段の女性の昼食は「ひとりで」が半数以上となっており、食事の準備には半数近くが冷凍食品を利用。男性においては、夕食も4割が「ひとりで」となっており、食事の際には3人に2人が冷凍食品を活用しているという。

 冷凍食品市場の回復基調は、味の向上に伴う若い世代による利用増が窺える。市場の回復・拡大は歓迎すべきことであろうが、この傾向が続けば、「家庭の味」というものが益々影をひそめる結果となるであろう。果たしてその結果は、歓迎すべきことなのであろうか。(編集担当:井畑学)