今週の振り返り 前週末比で567円上昇したという感覚は薄い

2013年04月27日 15:47

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 1ドル100円に乗らない焦燥感を引きずりながら、日米の決算発表と業績観測報道に一喜一憂を繰り返す業績相場。

 
 来週の展望 市場参加者が少なくなり特に4月30日は荒れそう

 来週は4月の第5週(4月30日)、5月の第1週(5月1~2日)で、4月29日の月曜日が「昭和の日」、5月3日の金曜日が「憲法記念日」で祝日休場になり、東証の取引は3日間しかない。ゴールデンウィーク(GW)の谷間だが飛び石連休ではないので、外国人投資家はその3日間に集中してくる。国内の個人投資家、機関投資家が連休モードでリスク資産への投資を手じまいして参加していなかったり、スローダウンしている分、日本市場では海外勢のプレゼンス(存在感)が増しそうだ。そうでなくても月末・月初は経済指標の発表が多くて世界の為替、株式市場は変化が激しいもの。5月6日まであるGWが終わったら市場の様相がガラリと変わっていて〃リハビリ〃に時間がかかったというようなことがないように、日本の市場が休みでも、旅行に行っていても、為替や海外株式や経済指標のチェックは毎朝1回程度でいいので怠らないようにしたい。もっとも、5月1日のメーデーはアメリカ、イギリスは休みではないが、ドイツ、フランス、中国本土、韓国、インドなどの取引所は休場になり、上海市場は4月29日、30日も休日になる。

 その月末・月初の経済指標で最大のものが日本では4月30日朝に出る失業率と有効求人倍率、アメリカでは5月3日に発表される失業率と非農業部門雇用者数だろう。日本の雇用統計は来週3日間、アメリカの雇用統計は5月第2週の株式市場に大きく影響する。

 国内の経済指標は、4月30日は3月の失業率と有効求人倍率、3月の家計調査、3月の鉱工業生産速報値、3月の小売業販売額が取引時間前に一気に発表される。3月の新設住宅着工戸数の発表もある。5月1日は3月の毎月勤労統計調査の現金給与総額、4月の新車販売台数、4月の大手百貨店売上高速報が、5月2日は4月のマネタリーベースが発表される。またこの日、4月3~4日の日銀の金融政策決定会合の議事録が公表され、「異次元緩和」の舞台裏をのぞくことができる。

 3月期の決算発表は4月30日が多く、アルプス電気<6770>、ANAHD<9202>、花王<4452>、JR東海<9022>、大同特殊鋼<5471>、第一中央汽船<9132>、JR東日本<9020>、Jパワー<9513>、富士通<6702>、JAL<9201>、JPX<8697>、関西電力<9503>、川崎汽船<9107>、KDDI<9433>、京王<9008>、京成<9009>、コメリ<8218>、九州電力<9508>、三菱倉庫<9301>、三菱電機<6503>、商船三井<9104>、村田製作所<6981>、日本郵船<9101>、日清食品HD<2897>、日東電工<6988>、小田急<9007>、セイコーエプソン<6724>、ソフトバンク<9984>、東武<9001>、トクヤマ<4043>、東京エレクトロン<8035>、テレビ朝日<9409>、JR西日本<9021>、ヤマハ<7951>、ヤマトHD<9064>、山崎製パン<2212>などが発表する予定。5月1日は大和証券グループ本社<8601>、ベネッセHD<9783>などが、5月2日はフォスター電機<6794>、出光興産<5019>、住友商事<8053>などが発表する。それ以外にも前期の業績見通しの修正を発表する企業があったり、新聞に業績観測記事が出たりするので見逃さないようにしたい。

 海外の経済指標は、4月29日にユーロ圏の4月の消費者信頼感指数確定値、アメリカの3月の個人所得、個人消費支出(PCE)、3月の住宅販売保留指数が、4月30日にユーロ圏の4月の消費者物価指数(HICP)速報値、3月の失業率、アメリカの2月のS&P/シーズ・シラー住宅価格指数、4月のシカゴ購買部協会景気指数、4月の消費者信頼感指数が、それぞれ発表される。月が変わって5月1日には中国の4月の製造業購買担当者景気指数(PMI/物資購入連合会)、アメリカの4月のADP雇用レポート、4月のISM製造業景況指数、3月の建設支出、4月の新車販売台数が発表され、5月2日には中国の4月のHSBC製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値、ユーロ圏の4月の製造業購買担当者景気指数(PMI)、アメリカの4月のチャレンジャー人員削減数、3月の貿易収支、1~3月期の四半期非農業部門労働生産性・速報値の発表がある。そして5月3日にはユーロ圏の卸売物価指数(PPI)、アメリカの4月の失業率と非農業部門雇用者数、4月のISM非製造業景況指数、3月の製造業新規受注が出る。週の後半になるほどNYダウには5月3日のアメリカの雇用統計を意識した動きが出てくるだろう。前回は非農業部門雇用者数の増加数が急減したが、持ち直しても、さらに減少しても市場へのインパクトは大きい。

 アメリカ主要企業の1~3月期決算発表は今週でヤマを越えていて、29日にNYSEユーロネクスト、ハートフォード、ドミノ・ピザなど、30日にADM、ファイザーなど、5月1日にフェイスブック、VISA、マスターカード、メルク、マリオットなど、5月2日にAIG、エスティローダー、GM、ケロッグなどが発表を予定している。

 なお、30日から5月1日までアメリカのFOMC(連邦公開市場委員会)が開催され、5月1日に政策金利が発表される。4月に入って住宅や小売に関する指標に陰りが出てQE3の出口論議は下火になっており、政策金利は据え置きの公算が強い。ヨーロッパでは2日にECB理事会が開催されドラギ総裁が記者会見を行うが、こちらは実施観測が強まっている政策金利の引き下げが行われるかどうかが焦点。もし引き下げられてもユーロが売られて円高に振れるかどうかは微妙だろう。

 ゴールデンウィークの谷間はどうしても、国内の機関投資家や個人投資家の市場参加が減ってくる。その分、中国以外は連休ではない海外勢の比重が増すことになるが、ご存知のように海外投資家は個別株物色よりも日経平均先物、TOPIX先物のような指数先物の大量売買を仕掛けて値がさ株、大型株を中心に市場を動かす傾向が強い。26日にファーストリテイリング<9983>単独で日経平均を64円もかさ上げしたような極端な現象が来週、また起きる可能性がある。いわゆる「プロの市場」化で、上下動の激しい荒れた相場に最もなりやすいのは、取引時間前に雇用統計など国内経済指標が集中的に発表され、3月期決算を発表する企業の数も多い4月30日だろう。テクニカル的に言えば、24日に100円を超える幅の「マド」を空けて上昇しているので、そのマドを埋めようとする動きで一時的に15500円台の前半あたりまで下落する時間帯があるかもしれない。とにかく、この日は荒れると思って心の準備をしておいたほうがいい。なお、信用取引のカラ売り規制強化措置の期限は4月30日までだったが、金融庁は4月23日、これを10月31日まで6ヵ月延長すると発表した。

 26日はお預けになった日経平均の14000円チャレンジは、4月30日に荒れるのをやり過ごして5月1日、2日はチャンスになりそうだ。前提条件は1ドルが100円台にタッチするだけでなく安定的に乗せていること、ヨーロッパの債務問題など外部要因に波乱が起きないこと、国内の経済指標に大きく悪化するものがないことなど。ただし上昇したとしても3日という日数の制約があること、下落しても今週23日に下値支持線になっていた13500円あたりで止まると考えると、来週の日経平均のレンジは13500円~14100円とみる。(編集担当:寺尾淳)