前週19日のNYダウは10ドルの小幅高。マイクロソフトやグーグルの決算が良く、IBMなど悪いほうの決算のショックを和らげた。G20 では「脱デフレが目的」と理解され日本の金融緩和政策が名指しで批判される事態は避けられたが、為替レートは1ドル=100円に接近しながらタッチしない。22日朝方の為替レートはドル円は99円台後半で100円まであと10銭前後に迫り、ユーロ円は130円前半だった。G20の重しが取れた日経平均は220.69円高の13537.17円と、大幅高で13500円台に乗せて始まった。3分後に12日につけた取引時間中の年初来高値13568円を突破し、続いて同じ12日に出た「まぼろしのSQ値」13608円にもタッチしてまぼろしを消す。しかし午前10時台以降の値動きは大引けまでおおむね13500円台後半での高値もみあいに終始。為替が1ドル=100円にタッチできない焦燥感のせいか上値は重く、251.89円高の大幅続伸で13568.37円で引けて終値ベースの年初来高値を更新したものの、1ドル100円、終値13600円の大台に乗せられず満たされない空気感が残った。TOPIXは+18.93の1145.60。売買高は44億株だったが、売買代金は2兆7966億円で3兆円を割っている。
値上がり銘柄数1541に対し値下がり銘柄は111で、東証1部33業種の業種別騰落率は31業種が値上がりした。マイナスの2業種は電気・ガスと不動産で、プラスの下位は石油・石炭、パルプ・紙、空運、保険など。プラスの上位は上から建設、金属製品、ガラス・土石、機械、その他金融、水産・農林の順だった。
騰落率トップに立った建設は、大手ゼネコンの鹿島<1812>が24円高、清水建設<1803>が33円高、大成建設<1801>が22円高、大林組<1802>が43円高でいずれも年初来高値更新。値上がり率ランキング1位に21円高で売買高2位、売買代金11位の三井住友建設<1821>が入り、値上がり率12位に10円高の大末建設<1814>、13位に17円高で年初来高値更新の飛島建設<1805>がランクインした。住宅・マンション関連も長谷工<1808>が26円高で続伸し値上がり率5位、売買高1位、売買代金5位、大京<8840>が21円高で売買高11位、売買代金13位に入り、大和ハウス工業<1925>が118円高になり、どれも年初来高値を更新した。国土強靱化関連では11円高の日本橋梁<5912>の他、太平洋セメント<5233>が8円高で売買高14位に入った。昨年の秋から冬にかけて公共投資関連として買いを集めた建設株もいつの間にか出遅れ気味になっていたが、循環物色のルーレットが回ってきた。
一方、大手不動産は後場になって下げ、不動産セクターの騰落率をマイナスにした。三井不動産<8801>、三菱地所<8802>はともに25円安、住友不動産<8830>は35円安、東急不動産<8815>は15円高だった。
金融・証券は堅調で、みずほ<8411>が4円高、三菱UFJ<8306>が10円高。50円高の三井住友FG<8316>傘下のSMBC日興証券が営業社員を2年で2割増やすと報じられ、人員減や廃業が続いた証券業界も風向きが変わってきた。野村HD<8604>は6日ぶりに反発し18円高、大和証券G <8601>は21円高、日経平均先物を取引するシカゴのCMEの元幹部を招くと報じられたJPX<8697>は280円高だった。増員した若手証券マンは現物株の売買手数料稼ぎの古典的な営業ではなくデリバティブで活躍するのだろうか。
その若手社員の処遇に関し「日経ビジネス」の特集で「ブラック企業」の代表のように扱われインタビュー記事で釈明していたのがファーストリテイリング<9983>とワタミ<7522>で、この日800円高のファーストリテイリングは「国内のユニクロ店長に月3万円の店長手当を支給」、46円高のワタミは「主力事業を居酒屋から弁当宅配に移す」というニュースがあった。やはりイメージの悪化は気にしているとみえる。